タケゴラ

鹿島アントラーズのことを書いています

カテゴリ:マッチレポート > リーグ戦


明治安田生命J1リーグ 第2節
鹿島アントラーズ 1-0 ガンバ大阪
(得点)
78分 [鹿島]金崎夢生

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 終始、試合の流れを握っていたのは鹿島の方だった。たしかに、ボール支配率ではG大阪に劣り、特に前半はどっちつかずの展開だったかもしれない。それでも、鹿島は余裕を持って、自分たちの手中で試合を進められていた。

 その大きな要因となったのはG大阪のビルドアップを制限できたことにあるだろう。そこで絶大な存在感を発揮していたのは、今節スタメンに入った小笠原の存在だ。小笠原はこの試合、普段のボランチよりも高い位置を取り、CBの前のスペースの穴埋めを三竿健に任せて、自分はフリーマン的な存在となっていた。その小笠原はG大阪が最終ラインでボールを持つと、ボランチの片方をケア。CB、あるいはCB+ボランチ1枚からの中央への縦パスを封じることで、相手をサイドへと追い出していた。また、この日の鹿島は個々の守備の役割がしっかりと整理されており、各々がその役割を確実にこなすことで、組織としての守備を機能させていた。各々の頑張りはもちろんだが、ここにも小笠原起用の意味があったのかもしれない。こうしたことで、G大阪の攻撃は倉田とファン・ウィジョを使ったサイドからのカウンターに限られ、シュートを打たれても誰かが必ず寄せており、フリーでシュートを打たれる場面はほとんどなかった。

 後半になると、鹿島が完全に押し込んでいく。G大阪のSBが高い位置取りなため、その空いたスペースにFWが走り込んでCBをサイドに誘い出し、そこからチャンスを作り出していった。しかし、東口の再三の好守もあって中々ゴールに結びつかない。すると、G大阪の中村にポスト直撃のシュートを打たれ、そこからG大阪に流れが傾きかけてしまう。シュートを打った中村のプレーは鹿島のSH、ボランチ、SB、CBの四角形のちょうど中間点でボールを引き出すことで、鹿島のDFに誰が奪いに行くのか、という迷いを生じさせることで、フリーでボールを受けそこからCBを引きずり出すことで、自らのシュートチャンスを作り出した素晴らしいプレーだった。

 それでもカウンターから再び流れを取り戻した鹿島に、ついにその瞬間が訪れる。78分、右サイドからのスローインを受けた鈴木が見事なターンでファビオを置き去りにすると、そのクロスにニアに飛び込んだ金崎がゴールネットを揺らし、鹿島が先制に成功する。この試合、もう一つ大きかったのは三浦とファビオというG大阪のCB陣に対して、鹿島の金崎、鈴木、そしてペドロ・ジュニオールが多くの場面で質的優位を作れていたことにあった。ここで押し込めることによって、ボールを奪われる位置が鹿島のゴールから遠ざかり、それが継続した攻撃にも繋げられていたのだ。

 その後は、ある程度ブロックラインを下げながらもしっかりと守り切ってタイムアップ。鹿島が今季リーグ戦初勝利を挙げた。ケガ人が増えてしまったこと、決定機に見合わない得点数など気がかりな部分はあるが、90分通して自分たちのペースで試合を進められたことは大きな収穫と呼べる試合だった。


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明治安田生命J1リーグ 第1節
清水エスパルス 0-0 
鹿島アントラーズ

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 試合の入りで主導権を握ったのは清水だった。清水はDFラインから多少余裕があっても、躊躇なくクリスランをターゲットにしてロングボールを放り込んでくる。これで鹿島は最終ラインを下げられ、間延びから前線が孤立するようになってしまった。もう少しロングボールの出しどころにプレッシャーがかかれば良かったものの、2トップは開いてボールを受けるCBのケアに手一杯で、2列目斗のプレスの連動も悪く、ボランチもまたロングボールのセカンドボール回収で低い位置を取らざるを得なかった。

 それでも、CBを中心に辛抱強く跳ね返し続けると、徐々に鹿島がボールを握りだす。この日の鹿島は清水の2トップがCBに対してケアしてくる中で、三竿健か内田が下がって3枚で数的優位を作ることで対応。ここからは確実にボールを前進できていたのだが、2列目のところから中々前に運ぶことが出来なかった。理由としては前半は「外外」の攻撃にこだわってしまっていたことが原因の一つだろう。鹿島のSBがボールを持った時、SHはSBと一直線上かそれよりも外側に開いてボールを受けることが多かった。たしかに相手の守備陣形を広げるという意味では大事なことではあるが、必然的にゴールからは遠ざかってしまう。遠藤も安部も独力でサイドを打開できるプレーヤーではないのと、清水の2列目のプレスバックが素晴らしかったのも重なって、鹿島はここから手詰まりになってしまっていた。

 すると、40分にはゴール前に放り込まれたクロスに対する競り合いでレオ・シルバが石毛を倒してしまいPKを献上してしまう。この試合、レオ・シルバはパスミスこそあったものの、セカンドボールの回収率は良かっただけに、悪くはないパフォーマンスだったのだが、こうした失点に直結するプレーはどうしても印象が悪くならざるを得ないだろう。ただ、この大ピンチはクォン・スンテがスーパーセーブで防ぎ、前半をスコアレスで折り返した。

 後半から、鹿島は特に遠藤が中に絞ってプレーするようになり、徐々に攻撃に幅が生まれだし、相手を押し込んでいく。しかし、それでも中々大きなチャンスに結びつかなかったのは、清水のDFラインが全員180cmを超えており、クロスを跳ね返す力に長けていたこと、そして鹿島のFWを崩しの段階で参加させすぎて、フィニッシュに注力させられなかったことが大きかったように思える。

 4-4-2のチームがサイドから崩していく場合、基本的にはSB、ボランチ、SH、FWの4人でひし形を作ってボールを前進させていくことが定石となる。この方がサイドで数的優位が作りやすいし、そうなれば自然とボールホルダーのパスコースも増えていくことになる。ただ、この試合での鹿島は主にFWとSH、SBの3枚で崩していくシーンが多く、それが相手のPA付近まで続いていたため、クロスを上げても中にいるのはFW1枚と逆サイドのSHの2枚のみというシーンが多かった。では、本来崩しに参加して欲しいボランチは何をしていたかというと、レオ・シルバはクロスのセカンドボールを拾うためか中央に位置取ることが多く、三竿健はカウンターに備えてCBの前にいることが多かった。どちらもチームの中で決め事もあるため、このポジションニングは決して間違いではなく、むしろ正しい選択だろう。ただ、相手に高さがあり、こちらは山本投入までターゲット役で高さのある選手はFW以外にいなかった、また内田の加入によって彼がバランスを取って残ることも考えれば、後ろはCB+1枚で鹿島の選手たちなら十分守り切れるレベルはある。こうしたことを考えればやり方を変えるのも一つの手だったのではないだろうか。

 攻勢が強まったのは、終盤に土居が入ってからだった。彼は常に位置取りを相手のボランチの脇あたりに設定し、SBの上がりを引き出していた。ただ、それでもこの日の鹿島はクロスの精度をことごとく欠いたことも響いて、最後までゴールが遠く、そのままタイムアップ。今季はスコアレスドローでスタート、という形になった。

 勝ち切らなければいけない試合だったのは間違いないだろう。率直に言えば、もったいない引き分けと言わざるを得ない。ただ、それでも昨季からの変化は確実に感じられた。ボールの前進のさせ方には柔軟性が出てきたし、大岩監督も試合の中で打てる手は打っていた。出場したメンバーでパフォーマンスの良くなかった面々もこれから上がっていく可能性はあるし、まだ出番に恵まれていない面々が新たな化学反応を起こす可能性もある。シーズンはまだ始まったばかりだ。


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明治安田生命J1リーグ 第25節

鹿島アントラーズ 1大宮アルディージャ
(得点)
33分 [鹿島]金崎夢生(←金森健志)

両チームのスタメンは以下の通り。鹿島は右SBに伊東、ボランチにレオ・シルバ、2列目に土居、そしてトップには金森が起用された。一方の大宮は、CBに山越が入った以外は前節と同じスタメンだ。
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大宮の狙いと鹿島の対応

 監督交代後の大宮はポゼッションに特徴を持つチームだ。ビルドアップ時はCBに加えて左SBの和田かアンカーのカウエ、時にGKの加藤順の3枚で鹿島の2トップに対して数的有利を作ってボールを前進させてくる。さらに、そこにインサイドハーフの2枚や1トップの江坂が降りてボールを受けて、サイドに展開。そこからのクロスでゴールが大宮の狙いだった。立ち上がりに訪れた奥井のクロスに江坂がヘディングで合わせたシーンは、まさにその狙っていた形が表現されていた。

 立ち上がり、この大宮の攻撃を中々捕まえられなかった鹿島は、ロングボールを相手SBの裏に蹴り込んでそこに2トップを走らせるやり方で陣地の回復を図っていった。大宮の両CBがアジリティに難を抱えているのもあったし、何よりこの日起用された金森を活かす意味でもこの方策は大きかった。決定的なシーンやフィニッシュまでには至らないものの、この繰り返しによってピッチには確実に変化が生まれていった。

15分過ぎからの変化

 鹿島がロングボールを蹴り込んでいくことによって、大宮のラインはそれを警戒してか自然と下がっていった。これによって、鹿島はプレッシャーの少なくなった最終ラインから中盤でボールを握ることに成功。試合を落ち着かせながらも徐々に主導権も握っていった。また、守備も降りていったインサイドハーフに対してボランチがマンマーク気味に付いていくことで対応。これによって、相手のプレーを制限させ、また万が一そこで外されてもCBともう片方のボランチの3枚の高い個々の守備力で守り切れるという判断だったのだろう。

 鹿島の先制点はこの流れの中で生まれた。もっとも、前半の鹿島は2列目の組み合わせや大宮の守備ブロックもあって、どうしても外外からのクロスに頼る攻撃が多かったのだが、先制点のシーンは金崎が中央付近でボールを持ったところから始まった。ドリブルする金崎に合わせて、金森が裏へと走り込んで相手のDFラインを押し下げる。そして、サイドに流れた金森へ金崎がパス。最後はサイドで持ち込んだ金森のクロスに走り込んだ金崎が合わせて鹿島が先制する。この押し込んだ時間帯での先制点は、結果的には非常に大きかった。



次の手

後半になると両チームが動く。鹿島は左足の違和感を訴えた遠藤に代わって安部。一方、大宮は前半の終わり頃から布陣を4-2-2-2に変えていた。
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だが、ここで大宮にアクシデント。マルセロ・トスカーノが負傷交代となり、大前がピッチに入る。ここで大宮は大前を活かすために布陣を4-2-3-1に再度変更した。
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 ただ、布陣が変わったとはいえ、大宮の後半からの狙いは変わらない。前半、ある程度ボールが握れて、しかも前線のアタッカーが鹿島守備陣に対して戦えていることに手ごたえを感じた大宮は、前線の枚数を明確な形で増やし、クロスに飛び込める人数を増やしたのだった。

 一方、鹿島はアクシデントとはいえ入った安部が変化をもたらした。前述したようにどうしても前半は外外の攻撃が多くなっていた鹿島だが、中央でも受けて前を向いて仕掛けられる安部が入ったことで、中央からの攻撃も増え、前半よりチャンスの数は増えていったのである。

マンマークの功罪

大宮は58分に動く。カウエに代えて清水を投入。清水が左SHに入り、茨田がボランチに下がった。
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 これは先程のターゲット役を増やす意図に沿って行われた交代であるが、後半の半ばからはボールポゼッションを完全に大宮が掌握していった。これは鹿島の運動量が落ち、まず前線で相手のパスコースが制限できずに、また下がることでゴールまでの距離も遠くなって、カウンターが成立しにくくなってしまったこと。また、マンツーマンで守っていた鹿島だったが、前に出ていくことが出来ずに大宮のボランチにチェックに行けなくなってしまったこと。この二つが大きく響き、終盤鹿島は守勢の時間が続き、苦しい戦いを強いられるようになってしまったのだった。

 だが、ここで鹿島は崩れなかった。疲労もあった中だったがブロックは崩さず、相手のクロスもCBを中心にことごとく跳ね返していった。

この後、両チーム動いて、最終的には以下のような布陣になった。
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※[訂正]鹿島の左SHは安部→永木

 終盤、大宮は岩上を投入してロングボールが増えていくが鹿島も落ち着いて対応。逆にカウンターからいくつかチャンスを作り出すも、決め切ることが出来ず1-0のまま試合は進んでいく。ただ、最後はロングスローで放り込んできた大宮の攻撃を最後まで跳ね返し続けてゲームセット。鹿島がウノゼロでリーグ戦3連勝を飾った。

おわりに

 カウンターから2点目を入れて仕留めることが出来ず、また運動量が落ちた中で次の手がやや後手に回ってしまったのは反省材料だろう。ただ、結果として無失点で終わらせたこと、何よりチームとしてゲームプランを統一した意思を持って完遂できたことは大きく評価できるポイントだろう。また、抜擢された金森が結果を残し、ここに来てポジション争いを加速させてくれたのも、チームにとってはプラス材料なのは間違いない。

 次節はアウェイで新潟戦。しっかり勝って、下からの追い上げを許さないようにしたいところだ。




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