明治安田生命J1リーグ 第1節
清水エスパルス 0-0 鹿島アントラーズ
試合の入りで主導権を握ったのは清水だった。清水はDFラインから多少余裕があっても、躊躇なくクリスランをターゲットにしてロングボールを放り込んでくる。これで鹿島は最終ラインを下げられ、間延びから前線が孤立するようになってしまった。もう少しロングボールの出しどころにプレッシャーがかかれば良かったものの、2トップは開いてボールを受けるCBのケアに手一杯で、2列目斗のプレスの連動も悪く、ボランチもまたロングボールのセカンドボール回収で低い位置を取らざるを得なかった。
それでも、CBを中心に辛抱強く跳ね返し続けると、徐々に鹿島がボールを握りだす。この日の鹿島は清水の2トップがCBに対してケアしてくる中で、三竿健か内田が下がって3枚で数的優位を作ることで対応。ここからは確実にボールを前進できていたのだが、2列目のところから中々前に運ぶことが出来なかった。理由としては前半は「外外」の攻撃にこだわってしまっていたことが原因の一つだろう。鹿島のSBがボールを持った時、SHはSBと一直線上かそれよりも外側に開いてボールを受けることが多かった。たしかに相手の守備陣形を広げるという意味では大事なことではあるが、必然的にゴールからは遠ざかってしまう。遠藤も安部も独力でサイドを打開できるプレーヤーではないのと、清水の2列目のプレスバックが素晴らしかったのも重なって、鹿島はここから手詰まりになってしまっていた。
すると、40分にはゴール前に放り込まれたクロスに対する競り合いでレオ・シルバが石毛を倒してしまいPKを献上してしまう。この試合、レオ・シルバはパスミスこそあったものの、セカンドボールの回収率は良かっただけに、悪くはないパフォーマンスだったのだが、こうした失点に直結するプレーはどうしても印象が悪くならざるを得ないだろう。ただ、この大ピンチはクォン・スンテがスーパーセーブで防ぎ、前半をスコアレスで折り返した。
後半から、鹿島は特に遠藤が中に絞ってプレーするようになり、徐々に攻撃に幅が生まれだし、相手を押し込んでいく。しかし、それでも中々大きなチャンスに結びつかなかったのは、清水のDFラインが全員180cmを超えており、クロスを跳ね返す力に長けていたこと、そして鹿島のFWを崩しの段階で参加させすぎて、フィニッシュに注力させられなかったことが大きかったように思える。
4-4-2のチームがサイドから崩していく場合、基本的にはSB、ボランチ、SH、FWの4人でひし形を作ってボールを前進させていくことが定石となる。この方がサイドで数的優位が作りやすいし、そうなれば自然とボールホルダーのパスコースも増えていくことになる。ただ、この試合での鹿島は主にFWとSH、SBの3枚で崩していくシーンが多く、それが相手のPA付近まで続いていたため、クロスを上げても中にいるのはFW1枚と逆サイドのSHの2枚のみというシーンが多かった。では、本来崩しに参加して欲しいボランチは何をしていたかというと、レオ・シルバはクロスのセカンドボールを拾うためか中央に位置取ることが多く、三竿健はカウンターに備えてCBの前にいることが多かった。どちらもチームの中で決め事もあるため、このポジションニングは決して間違いではなく、むしろ正しい選択だろう。ただ、相手に高さがあり、こちらは山本投入までターゲット役で高さのある選手はFW以外にいなかった、また内田の加入によって彼がバランスを取って残ることも考えれば、後ろはCB+1枚で鹿島の選手たちなら十分守り切れるレベルはある。こうしたことを考えればやり方を変えるのも一つの手だったのではないだろうか。
攻勢が強まったのは、終盤に土居が入ってからだった。彼は常に位置取りを相手のボランチの脇あたりに設定し、SBの上がりを引き出していた。ただ、それでもこの日の鹿島はクロスの精度をことごとく欠いたことも響いて、最後までゴールが遠く、そのままタイムアップ。今季はスコアレスドローでスタート、という形になった。
勝ち切らなければいけない試合だったのは間違いないだろう。率直に言えば、もったいない引き分けと言わざるを得ない。ただ、それでも昨季からの変化は確実に感じられた。ボールの前進のさせ方には柔軟性が出てきたし、大岩監督も試合の中で打てる手は打っていた。出場したメンバーでパフォーマンスの良くなかった面々もこれから上がっていく可能性はあるし、まだ出番に恵まれていない面々が新たな化学反応を起こす可能性もある。シーズンはまだ始まったばかりだ。
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