タケゴラ

鹿島アントラーズのことを書いています

2017/11


 前節ホームで浦和を下して、優勝に王手をかけた鹿島。勝てば文句なしで連覇が決まる今節は、柏と対戦する。

 柏は現在4位。ここ2試合は川崎F、磐田といった上位陣とのホーム連戦で1勝1分の成績を残し、ACL出場圏内となる3位を射程圏内にとらえており、鹿島はもちろん柏にとっても勝利が求められる一戦になる。鹿島は今季、7月にアウェイで柏と対戦しており、その時は前半に柏に先制を許すも、金崎と永木のゴラッソで逆転。その後追いつかれるも、ペドロ・ジュニオールのゴラッソで突き放して、3-2とシーソーゲームをモノにしている。

 柏というチームは戦術に柔軟性があるため、どんな相手にもそれに合わせたやり方で勝点を稼げるチームである。鹿島相手に柏が繰り出してくるのがビルドアップとハイプレスだ。ビルドアップでは常に数的有利を作ってボールを前進させ、ボールが相手に渡ればすぐさま奪い返しにプレスをかけて、相手に満足な攻撃を許さない、この2つのやり方を使い分ける下平監督率いる柏に鹿島は常に苦戦を強いられ、昨季は2敗、今季も前半戦は勝ったとはいえ、内容面では明らかに柏の方が上回っていた試合だった。

 今節もお互いにやり方を大きくは変えてこないゆえに、正直鹿島が内容で劣る展開になってしまうだろう。だが、それと結果は別である。前半戦で鹿島が勝利した最大のポイントは、前線の個の力で押し切ったことにある。エースの金崎はもちろん、ドリブラーとしてもバランサーとしても重宝される土居、一発で展開を打開できるレアンドロ、キープ力とパンチ力ある左足を持つ遠藤と今の鹿島にはアタッカーの駒が充実しており、彼らを柏のDF陣にぶつけ、DFラインを押し下げることで鹿島にも自分たちのペースを握れる時間帯を迎えられるはずだ。ベンチには突破力のあるペドロ・ジュニオールやゴール前での強さを持つ鈴木も控えている。この攻撃陣の力を引き出せれば、鹿島に勝利は近づいてくるだろう。

 そのためにはもちろん守備陣の踏ん張りも欠かせない。チケット完売のカシマスタジアムで、鹿島は全員の力で目標達成に邁進するのみだ。
    
明治安田生命J1リーグ 第33節
鹿島アントラーズ鹿島アントラーズ柏レイソル柏レイソル
11月26日(日) 13:00キックオフ
県立カシマサッカースタジアム


試合情報(鹿島公式サイト)
スタジアムの天気
NHK総合 放送予定(13:05~)
DAZN 放送予定(12:50~)


[鹿島の前節ハイライト]


[対戦相手の前節ハイライト]


[予想フォーメーション]
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[予想スタメン]
<鹿島>(1位) ※は累積警告
GK
21曽ヶ端準
DF
22西大伍■■
5植田直通
3昌子源
16山本脩斗
MF

4レオ・シルバ
20三竿健斗
25遠藤康
11レアンドロ■■
FW

8土居聖真
33金崎夢生
SUB
GK1クォン・スンテ
DF24伊東幸敏
MF6永木亮太■■
MF13中村充孝
MF40小笠原満男
FW7ペドロ・ジュニオール
FW9鈴木優磨
監督
大岩剛

欠場予想選手
DF三竿雄斗(別メニュー調整中で欠場濃厚)
MF田中稔也(右第5中足骨骨折で欠場濃厚)

前節と同じスタメンで臨む模様。ベンチにはここ2試合を欠場したペドロ・ジュニオールが復帰しそうだ。

<柏>(4位) ※は累積警告
GK
23中村航輔
DF
13小池龍太
2鎌田次郎
5中山雄太
22輪湖直樹■■
MF
7大谷秀和■■
28栗澤僚一
14伊東純也
19中川寛斗
20ハモン・ロペス

FW

9クリスティアーノ
SUB
GK1桐畑和繁
DF4中谷進之介■■
DF26古賀太陽
MF8武富孝介
MF37細貝萌
FW10大津祐樹
FW11ディエゴ・オリヴェイラ
監督
下平隆宏


欠場予想選手
MF小林祐介(左膝外側半月板損傷で欠場濃厚)
MFキム・ボギョン(累積警告で出場停止)
MF手塚康平(右膝前十字靭帯損傷・右膝外側半月板損傷で欠場濃厚)

前節から1人変更。キム・ボギョンが出場停止となるボランチに栗澤が入る。前節欠場した中谷は復帰濃厚で、先発の可能性もありそうだ。



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 いよいよ今季も残り2試合を残すのみとなったが、ここに来て鹿島のボランチは三竿健斗とレオ・シルバのコンビで固定されている。永木亮太や小笠原満男といった、他クラブならレギュラークラスの選手を控えに追いやって、なぜこの2人が起用されているのか、その理由を分析していきたい。

・大岩監督の事情と方針

 知っての通りだが、今季の鹿島は5月に監督交代を実施。現在は大岩監督が指揮を執っているわけだが、大岩監督が就任した時、次の試合であったアウェイでの広島戦はもう4日後に迫っていた。その後代表ウィークによる中断があったとはいえ、与えられた準備期間が短かったのは事実。そこで、大岩監督は数ある課題の中から攻撃の改善に着手。コンスタントにゴールの奪えるチーム作りを目指したのだった。

 ただ、そうなると必然的に守備については後回しになってしまう。守備の方も連動したプレッシングは機能しておらず、そうした点でチームは勝点を失ってきた。それに対して、大岩監督は守備陣の個々の能力に頼る戦い方にシフト。多少前掛かりになったり、押し込まれても、昌子を中心としたDFラインとボランチの守備力があれば、そう簡単に失点はしない、守備組織の再構築は来季以降に取り組み、今季はこのままでも十分に戦っていけると判断したのだった。

・ボランチに求められること

 この判断がボランチのチョイスに大きな影響をもたらしてくる。大岩監督の方針によって、ボランチには高い守備力が今まで以上に求められるようになった。とはいえ、三竿健ら上記にあげた4人はそれを満たすだけの守備力は持っている。ここで大事になってくるのが、「中央を固めること」と「守備範囲の広さ」だ。

 サッカーというものは中央から攻められる方がサイドから攻められるよりも、当然失点のリスクは高くなる。さらに、鹿島はSBが高い位置を取って攻撃に参加するため、SBの裏には大きなスペースが出来る。そのスペースをカバーするのは鹿島ではCBの仕事になっている。そこでCBが空けたスペースは、逆サイドのSBかボランチがケアしなければならない。ただ、ここでそのケアしたSBやボランチに対人の強さ、高さがないと、そこを突かれて失点するリスクは高くなってくる。そのため、ボランチやSBにはカバーに入った時に対応できるだけの守備力、さらに高さが求められているのだ。大岩監督が就任直後から三竿健を重用するのには、そうした高さを考えてのことと、三竿健はセットした状態だと必ずCBの前に位置取ることを特に意識するプレーヤーのため、そうした時には常にCBとボランチの1枚で三角形を作ることができる。この三角形が防波堤として成り立つためには大事なことなのであろう。

 先ほど、鹿島はプレッシングが機能しておらず、またSBの裏にはスペースが出来ると書いた。そうなると受けやすくなるのがカウンターである。カウンターでは相手の攻撃陣と数的同数、または数的不利の状態で広い自陣を守らなければならず、どうしても個々がカバーしなければならないゾーンは広くなってしまう。その広がったゾーンを補えるだけの運動量とボールを奪ってカウンターを止める能力は、大岩監督になってからいっそうボランチには求められるようになった。チームの大黒柱である小笠原がベンチを温める機会が多くなっているのは、この部分が理由として大きいだろう。鋭い読みとボール奪取力はチームでもトップレベルにあることは間違いないが、運動量に関しては衰えを隠せないのが正直なところだ。先述した理由に合わせて、鹿島は拮抗した展開で終盤に突入すると、わざと陣形を間延びさせてカウンターの撃ち合いに持ち込ませ、その中でゴールに迫るチャンスを増やす戦い方もしている。これはゴールを奪えるクオリティのある攻撃陣がいることはもちろん、カウンターを受けても耐えきれる守備陣の力も一層必要になってくる。そうしたことも、小笠原がなかなか出番を得られない理由の一つではあると思われる。

 また、大岩監督になってボランチが求められるようになったことのもう一つが「縦パス」だ。攻撃の改善に乗り出した大岩監督は、石井監督時のサイド攻撃主体から中央突破主体にシフト。そのため、ボランチには多少のリスクを冒してでも中央の味方に縦パスを入れていくことが求められるようになった。ただ、この点においてはボランチのレギュラーを争う4人全員がこなせるタスクであり、さらに言えば小笠原や永木の方がスタメンで出ている2人より質の高いものを持っているとも言えるだろう。

 それでも大岩監督が2人を評価してレギュラーに使い続けるのには、彼らに積極性があるからだろう。彼らは縦パスを入れることをあまり躊躇しない。もちろん奪われるリスクも考えなければいけないし、2人も闇雲に入れているわけではないが、彼らはミスを恐れることなく、おそらく他のボランチよりも高い頻度で縦パスを入れている。それには、たとえミスしても、すぐに失点には繋がらない場面だという判断もあると思われるし、また彼らの守備力をもってすれば、そのミスを取り返してもう一度自分たちのボールにできるという計算があるからだろう。いずれにしろ、彼らの積極性が鹿島の攻撃の機会を増やしていることは間違いない。

・レギュラー争いのこれから

 もっとも、この現状を小笠原や永木がすんなりと受け入れているわけはなく、彼らの突き上げによってボランチのレギュラー争いはまだまだ激しい争いが続いていくだろう。もちろん、彼ら以外にもレンタル組を含めて、鹿島にはボランチのレギュラーポジションを狙う選手が数多く在籍しているだけに、そうした面々の活躍にも期待したいところだ。来季になれば、守備組織の整備の如何でボランチに求められることもまた変わってくるだろう。今までも、これからも、その時その時に合わせて求められることを最もこなせる選手が、ボランチのポジションを掴んでいるだろう。


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 大宮の新監督に石井正忠氏(以下石井さん)が就任することが発表された。石井さんといえば、今年5月まで鹿島の監督を務め、就任1年目の2015シーズンにはナビスコカップ優勝、さらに就任2年目の2016シーズンにはJ1リーグ優勝と天皇杯優勝の2冠を果たし、クラブワールドカップではアジア勢初の決勝進出に導くなど、輝かしい実績を残してきた指導者である。その石井さんが託されたのは「崖っぷちの大宮をJ2降格の危機から救うこと」。では、石井正忠とはどんな指導者なのか。約2年弱、石井さん率いるチームを見てきた筆者の見解から見ていきたい。

・鹿島での石井正忠

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石井正忠監督時の基本布陣(2015~2017)

 石井さんが鹿島の監督に就任したのは2015年の7月だった。トニーニョ・セレーゾ監督になって3季目、チームの集大成として挑んだシーズンだったが開幕から調子が上がらず、ACLはグループステージで早々に敗退、リーグ戦も2ndステージを1勝1分1敗で終えた段階でチームは監督交代を決断し、後任となったのがコーチを務めていた石井さんだった。

 監督になった石井さんがまず最初に行ったのが、守備の再整備だった。前から行くのか、後ろでしっかり守るのかがあいまいになっていたチームに、「まずは後ろでしっかりとゾーンで守る」ことを徹底。ボールを奪われた際は素早く自分のポジションに戻ることが意識づけられた。
 次に行われたのが、攻撃の狙いどころを定めることだった。セレーゾ体制下ではロングカウンターが主な攻撃の形であり、ゴールへ迫る手段はその時その時のアイデアに任されていた。この場合、どこから攻めるのかわからない流動的な攻撃が出来るためハマった時は猛威を振るったのだが、反面上手くいった場合でも、その場その場で即興で生まれたアイデアのため再現性がなく、同じシーンを上手く作り出せず、必然的に波が大きくなってしまっていた。石井さんはそこに、まずは前線の選手をペナルティエリアの角の部分に走り込ませて、そこにボールを供給して、そこから2列目やSBとの連係で崩していこうという攻撃の形を持ち込んだ。そのため、布陣も1トップから2トップに変更。ここで重用されたのがスプリント力に優れる赤﨑であり、金崎であった。
 さらに、ここから導入されたのが前線からのプレッシングだった。前線のスプリント力を活かし、相手のビルドアップを制限、相手を追い込んでボールを奪い、ショートカウンターに繋げるこのスタイルは、読みとボール奪取力に優れたボランチ、さらに耐久力に不安のあったCBを抱えていた鹿島にとって、ピタリとハマるスタイルだった。

 この3つの工程を経た鹿島のベストパフォーマンスが発揮されたのが、2015年のナビスコカップ優勝から2016年の1stステージ優勝までの期間であろう。

 だが、石井さんの手腕が光ったのは正直ここまでだった。夏場になって運動量が落ちると、プレスは機能しなくなり、また攻撃の形もペナルティエリアの角崩し以外に具体的な策を授けることもできなかった。特に2つ目の攻撃の形がないというのは、カイオの中東への移籍で1人で状況を打開できるアタッカーを失い、またチャンスの数を増やすためのビルドアップもボランチの展開力に依存していた鹿島にとっては深刻な課題だった。この状況に対して痛かったのは、石井さんが対処療法しか打てずに、根本的な課題の解決に取り組まなかったことだった。ビルドアップの課題や、現在の大岩監督になってから行っている中央からの崩しが導入できていれば、状況の改善も見込めたはずなのに、そうした課題に対して石井さんは最後まで回生の一手を打つことが出来なかった。

 ただ、それでも石井さんがここまでの実績を残せたのには、2016シーズン終盤に状況によってはプレスを捨てて、引いて守ることも辞さないと戦い方を統一させたからだった。もちろん、2ndステージに相次いだケガ人が戻ってきたのも大きかったが、自分の理想の形を捨ててでも、勝利に徹するその姿勢でもう一度チームを団結させた姿勢は称えられるべきであろう。しかし、チームの根本的な課題は最後まで解決させることが出来ず、ACL敗退という大きな喪失感に見舞われていたチームにカンフル剤を投入する意味合いもあって、2017年5月に石井さんは解任となった。

・大宮での石井正忠

 現在の大宮は非常に厳しい状況にある。残り3試合で残留圏内との勝点差は4。他会場の結果次第ではあるが、次節敗れると降格の可能性もある、まさしく崖っぷちだ。

 今の大宮の課題はボールは持てているにもかかわらず、攻めの形がサイドからのクロスがほとんどで、ボールポゼッションの割にチャンスが圧倒的に少ないことにある。石井さんがまず向き合わなければいけないのはこの問題であろう。守備は決して大崩れはしていないだけに、効率よくゴールが奪えるようになれば、ここから上昇していくことも可能だろう。

 ただ、この状況での監督就任から察するに、石井さんには来季のディビジョンがどうであれ、2年目の指揮も任されることになるだろう。ここからが石井さんが監督としての力量を試される場になるのは間違いない。

 鹿島の場合、良くも悪くもチームのスタイルがハッキリしており、それに合わせた選手構成がされている。ただ、他のクラブではそうしたチームのスタイル作りから、選手構成まで一からフロントと協力して行わなければならない。ただ、これはあらかじめレールがある程度敷かれていた鹿島と違い、レールを敷くところからスタートしなければならないものの、自分の手で自分の思うようにレールを敷くことが出来るため、より監督に与えられる権限は大きなものになってくるだろう。そのため、監督の力量次第で、クラブの命運は大きく左右されてくる。

 個人的に思うに、今の大宮のメンバーなら、完璧とは言えなくても、石井さんのサッカーを体現できるだけのメンバーは揃っていると思う。また、次の試合まではまだ1週間以上あり、シーズン途中の監督交代にしては、比較的時間が与えられている方だろう。それだけに、残り3試合勝って、J1残留する可能性も低くはないと思っている。また、来シーズン開幕まで今季の鹿島とは違い、時間は大きく残されている。今のチームから大きく上積みして、ステップアップすることも可能なはずだ。

 過去、鹿島のOBが他クラブの監督に就任した際の実績は決して良いとは言えないものがある。ただ、今回の石井さんはその過去を払拭する可能性は十分あるはずだ。どんなチームを作り上げていくのか、注目して見守りたい。

大宮の石井さん就任以降の予想布陣
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