序盤の試合の入り方は正直悪かった。浦和の1トップ2シャドーに上手くつききれず、押し込まれる形になってしまった。その結果が山本が興梠を引き倒してのPK献上に繋がってしまったのであろう。しかし、この決定的なピンチを救ったのは守護神曽ヶ端である。M・リシャルデスのキックを残した足でビッグセーブ。これによって、試合の流れを完全に浦和に引き渡すことを凌いだ鹿島は、時間の経過と共に守備組織を安定させていった。すると徐々に右サイドを起点にして、攻撃を仕掛けていく。すると、39分に右サイドの遠藤のパスを土居がスルー、これを左サイドで受けたカイオがドリブルで仕掛けてPA外からシュート。これが西川の頭上を越える見事なループシュートとなってゴールに吸い込まれ、鹿島が待望の先制点を挙げた。このあと、ここホーム2試合で課題だった得点後のバランスの悪さも見られず、鹿島はリードして前半を終えることに成功した。
後半が始まっても、鹿島の狙い通りのペースで試合が進められていった。守備ではしっかりとブロックを作りながら対応して、攻撃でも上手くチャンスを作り出す場面もあり、このままいくかと思われた所に浦和が変化をつけてきた。今までビルドアップ役となっていたボランチが前に出る場面が増え、フィニッシュに絡むようになってきたのだ。今までマンツーマンで対応してきた鹿島守備陣はこの変化に対応できず、バイタルエリアを使われるようになってしまう。そして、63分に柏木のヒールパスから上がってきた阿部がシュート、これを曽ヶ端が弾いたところに李が詰めてゴール。鹿島は同点弾を許してしまうことになる。その後、鹿島は途中出場した本山を中心に攻撃を仕掛けていくが、なかなか浦和の守備を崩せず、決定的な場面を作り出すことができない。結局、試合はそのまま終了し大一番はドロー決着となった。
昨季は2敗した浦和に対して今季は2分という結果になった。この結果からも見られるように、昨季から成長したのは間違いない。特に守備面では、1トップ2シャドー対策が成果を挙げ簡単に崩される場面が激減した。また、CBの持ち上がりに対しても鹿島の両SHが戻ることで対応できていた。しかし、ボランチが持ち上がった時の対応には課題が残った。そして、攻撃面でも個々のレベルが上がったことにより、劣勢からでもゴールを奪うことが出来るようになったのは成長といえるだろう。しかし、この試合でも数多くのセットプレーを手に入れながら、フィニッシュに繋げられなかったのは課題だろう。このように、この試合では改めて成長を実感したシーンと課題や改善できるシーンの両面が見られた。これが今のチーム力を表しているのだろう。今季の残り試合は4試合。さらなる成長を求めるためにも、一つでも多くの勝利を手に入れるために。残り試合の重要性は言うまでもない。
[試合記録]
2014 Jリーグ ディビジョン1 第30節
2014年10月26日(日) 19:00キックオフ
県立カシマサッカースタジアム 入場者数:26566人
鹿島アントラーズ1-1浦和レッズ
[得点経過]
39分 <鹿島>カイオ(今季7点目 アシスト遠藤康)
63分 <浦和>李忠成(今季6点目)
[ハイライト動画]
[警告・退場]
5分 <鹿島>山本脩斗(警告 累積4枚目 ※次節出場停止)
41分 <鹿島>西大伍(警告 累積2枚目)
76分 <鹿島>豊川雄太(警告 累積2枚目)
[フォーメーション]
[出場記録・寸評]
<鹿島>
GK
21曽ヶ端準 6 PKストップでピンチを救った。失点シーンは弾きどころが悪かった。
DF
22西大伍 6 組み立てでの貢献度は高いが、クロスの精度を欠いた。
23植田直通 6 競り合いは完勝。プレーの選択肢を増やしたい。
15昌子源 6 どこまでも興梠に食らいついた。もっとラインを上げられたはず。
16山本脩斗 5 PK献上の他にも守備で後手を踏む場面が目立った。
MF
20柴崎岳 5.5 攻撃時の視野の広さはさすがだが、柏木へのマークが中途半端だった。
40小笠原満男 5.5 攻守のリンクマンとして動き続けたが、押し込まれたときの改善策を導けなかった。
25遠藤康 5.5 球際の強さを発揮し起点になったが、左足の精度を欠いた。
→MF7ジョルジ・ワグネル(80分) 6 持ち味を見せ、少ない時間でチャンスを作り出した。
33カイオ 6.5 動き自体はよくなかったが、ゴラッソで一発回答。
→FW19豊川雄太(75分) 5.5 シュートは西川の正面を突いた。仕掛ける場面も作れず。
28土居聖真 5.5 後半に存在感が出てきた。もっとシュートが欲しい。
FW
18赤﨑秀平 5.5 ラインブレイクと守備は良かったが、肝心のフィニッシュに絡めず。
→MF10本山雅志(64分) 6.5 さすがの技術で攻撃の要になった。
監督
トニーニョ・セレーゾ 5.5 打てる手は打ったが、それでも勝利は掴めず。さらなるチーム力の向上が必要。
<浦和>
GK
21西川周作 6
DF
46森脇良太 6
4那須大亮 6
5槙野智章 5.5
MF
26関根貴大 5
→MF11関口訓充(55分) 6
22阿部勇樹 6.5 MOM
16青木拓矢 5.5
3宇賀神友弥 5
8柏木陽介 6
10マルシオ・リシャルデス 5
→FW20李忠成(59分) 6.5
FW
30興梠慎三 5.5
→MF13鈴木啓太(86分) -
監督
ペトロヴィッチ 6
<主審>
飯田淳平 6 ゲームが荒れることがないように苦心し続けた。PKの判定も妥当。
[J1第30節終了時 記録]
<対戦結果>
仙台 | 1-2 | 柏 |
神戸 | 2-1 | 大宮 |
鳥栖 | 0-2 | 新潟 |
鹿島 | 1-1 | 浦和 |
G大阪 | 2-1 | F東京 |
徳島 | 0-2 | 名古屋 |
横浜FM | 0-0 | C大阪 |
甲府 | 2-1 | 川崎F |
清水 | 1-3 | 広島 |
<順位>
順位 | チーム | 試合 | 勝点 | 得点 | 失点 | 得失 |
1 | 浦和レッズ | 30 | 58 | 49 | 27 | 22 |
2 | ガンバ大阪 | 30 | 55 | 53 | 29 | 24 |
3 | 鹿島アントラーズ | 30 | 51 | 56 | 35 | 21 |
4 | 川崎フロンターレ | 30 | 51 | 50 | 36 | 14 |
5 | サガン鳥栖 | 30 | 50 | 36 | 31 | 5 |
6 | 柏レイソル | 30 | 48 | 39 | 38 | 1 |
7 | FC東京 | 30 | 45 | 43 | 27 | 16 |
8 | サンフレッチェ広島 | 30 | 45 | 40 | 33 | 7 |
9 | ヴィッセル神戸 | 30 | 45 | 45 | 41 | 4 |
10 | 横浜F・マリノス | 30 | 44 | 33 | 26 | 7 |
11 | アルビレックス新潟 | 30 | 41 | 26 | 30 | -4 |
12 | 名古屋グランパス | 30 | 40 | 39 | 42 | -3 |
13 | ヴァンフォーレ甲府 | 30 | 33 | 22 | 30 | -8 |
14 | ベガルタ仙台 | 30 | 33 | 29 | 43 | -14 |
15 | 大宮アルディージャ | 30 | 31 | 39 | 55 | -16 |
16 | 清水エスパルス | 30 | 31 | 36 | 53 | -17 |
17 | セレッソ大阪 | 30 | 30 | 31 | 36 | -5 |
18 | 徳島ヴォルティス | 30 | 13 | 15 | 69 | -54 |
<ゴールランキング>
順位 | 選手名 | チーム | ゴール数 |
1 | 大久保嘉人 | 川崎F | 15 |
2 | マルキーニョス | 神戸 | 14 |
3 | ペドロ・ジュニオール | 神戸 | 13 |
3 | 豊田陽平 | 鳥栖 | 13 |
5 | 興梠慎三 | 浦和 | 12 |
5 | 武藤嘉紀 | F東京 | 12 |
7 | 小林悠 | 川崎F | 11 |
7 | ノヴァコヴィッチ | 清水 | 11 |
9 | ダヴィ | 鹿島 | 10 |
9 | エドゥー | F東京 | 10 |
9 | 石原直樹 | 広島 | 10 |
9 | 佐藤寿人 | 広島 | 10 |