勝つためには得点が必要なのは当然の話だが、相手の実力やここ最近の両チームの調子を踏まえると、まずは守備から入ることは十分に考えられるだろう。浦和の得点パターンを見ていると、主に前線の3人で崩して最終ラインの裏を取った形、サイドに展開してそこから崩した形、そしてセットプレーの3つが挙げられる。鹿島としてはまず中央を固めたい所だ。そこで浮上するのが第9節広島戦で採用した、小笠原がCBの間に入って5バックで守る形だ。こうすることで、中央で崩されることを防ぎ、サイドからの攻撃も中でしっかりと跳ね返そうという狙いだ。選手たちはこの守備的な布陣を採用することが本意ではないようだが、やはり守備の堅い浦和相手ではこの形を採用した方が得策に思える。また、セットプレーも昨年の対戦では2試合とも失点を喫しているだけに、細心の注意を払いたい所だ。
そして攻撃の話である。今季の浦和はとにかく守備の堅さが目立つ。その背景には、ボールを奪われた後のプレスと西川の加入によってGKの守備範囲が広いためにとれる最終ラインの高さが挙げられる。これを攻略するためにはまず簡単にボールを失わないことが最低条件であろう。プレスに引っかかるようではボールを前線に運ぶことは出来ない。正確なビルドアップが求められるだろう。一方でそんな浦和の守備にもクロスの対応には綻びが見られる。鹿島としては状態の上がってきているSBのオーバーラップを増やしたいところだ。SBとSHの連係で崩し、そこからのクロスでシュートチャンスを作る。例えそこで跳ね返されても、セカンドボールを拾うことによって、相手を敵陣に押し込んでいく。そうしたことで主導権を握り、何度もチャンスを作ることで、得点の可能性を上げたい所だ。
埼玉スタジアムでの浦和戦は2009年以降勝利がなく、しかも今回の浦和は首位であると共にリーグ戦7試合連続無失点中とリーグ記録を更新中である。そうした逆境を跳ね返さなければ、この先生き残っていくことは出来ないだろう。浦和守備陣のシャッターを壊し、勝点3を持ち帰る。鹿島の底力を今こそ見せる時だ。
2014 Jリーグディビジョン1 第17節
浦和レッズ-鹿島アントラーズ
7月27日(日) 18:00キックオフ
埼玉スタジアム2002
試合情報(浦和公式サイト)
スタジアムの天気
スカパー!放送予定(17:50~ スカチャン1)
スカパー!オンデマンド配信リンク(17:50~)
[対戦相手情報]
浦和レッズ
1位 16試合11勝2分3敗22得点9失点
鹿島との対戦データ
ここまで首位を快走するその最大の要因は何といっても守備力の高さにある。昨季の反省から守備の改革に取り組んだ今季は、全員が高い守備意識を持ち、これまで以上に運動量を増やすこと、そしてリーグ屈指のGK西川の加入によって、鉄壁の守備陣を作り上げ、ここまでリーグ唯一の一ケタ失点、さらにリーグ新記録となるリーグ戦7試合連続無失点試合という記録を作り上げている。攻撃面も原口が中断期間中に移籍したものの、李や柏木、そして古巣対戦となる興梠とタレント揃い。昨季ほどの得点力はないが、それでも勝つために必要な得点は奪えている。まさに今の浦和はリーグ最強の敵と言っていいだろう。
・直近5試合の結果
大会 | 対戦相手 | 会場 | スコア | 得点者 |
ナビスコ杯予選第6節 | 甲府 | 中銀スタ | ○2-1 | (甲府)クリスティアーノ (浦和)那須、梅崎 |
ナビスコ杯予選第7節 | 名古屋 | 埼玉 | ○5-2 | (浦和)柏木、李2、槙野、関口 (名古屋)永井、松田 |
天皇杯2回戦 | 浦安SC | 駒場 | ○8-2 | (浦和)阿部、興梠2、宇賀神、梅崎、森脇、鈴木、関根 (浦安)上松、清水 |
J1第15節 | 新潟 | 埼玉 | ○1-0 | (浦和)O.G. |
J1第16節 | 徳島 | 鳴門大塚 | ○2-0 | (浦和)槙野、興梠 |
・鹿島との対戦成績(直近5試合、リーグ戦のみ)
節 | 会場 | スコア | 得点者 |
2011年 第27節 | カシマ | △ 鹿島 0-0 浦和 | |
2012年 第5節 | カシマ | × 鹿島 1-3 浦和 | (鹿島)興梠 (浦和)M・リシャルデス2、ポポ |
2012年 第22節 | 埼玉 | × 浦和 2-1 鹿島 | (浦和)宇賀神、原口 (鹿島)岩政 |
2013年 第11節 | 埼玉 | × 浦和 3-1 鹿島 | (浦和)那須、興梠、梅崎 (鹿島)野沢 |
2013年 第29節 | カシマ | × 鹿島 1-2 浦和 | (鹿島)大迫 (浦和)那須、原口 |
[対戦相手の前節ハイライト]
J1第16節 ○ 徳島 0-2 浦和(得点者 [浦和]槙野、興梠)
[予想フォーメーション]
[予想スタメン]
<鹿島>※■は累積警告
GK
21曽ヶ端準
DF
22西大伍■
23植田直通■■■
15昌子源■■
16山本脩斗■■
MF
20柴崎岳
40小笠原満男■■■
25遠藤康■■■
28土居聖真
19豊川雄太■
FW
11ダヴィ■■
SUB
GK1佐藤昭大
DF4山村和也
MF8ルイス・アルベルト
MF10本山雅志■
MF27梅鉢貴秀■■
MF33カイオ■
MF35野沢拓也
監督
トニーニョ・セレーゾ
欠場予想選手
DF伊東幸敏(右肩関節脱臼で出場微妙)
MF宮内龍汰(左足甲外側の第5中足骨骨折で出場微妙)
FW赤﨑秀平(左膝内側靭帯の部分断裂で欠場濃厚)
浦和のサイド攻撃を抑える意味でも、戦術理解度が高く、好調の豊川がカイオに代わってスタメン出場すると予想。ベンチにはL・アルベルトが復帰。その他にも青木、中田、中村、前野らのベンチ入りの可能性もある。
【KEY MAN】
MF柴崎岳
…体のキレが良くなっているこの若きボランチには攻守両面で献身的な働きが求められる。特に攻撃面では意外性のあるパスと積極的な持ち上がりや飛び出しが、浦和守備陣を崩すカギとなるだろう。
<浦和> ※()は2014年リーグ戦の記録
GK
21西川周作(16試合9失点)
DF
46森脇良太(15試合0得点)
4那須大亮(15試合0得点)
5槙野智章(13試合2得点)
MF
22阿部勇樹(16試合2得点)
16青木拓矢(6試合0得点)
14平川忠亮(10試合0得点)
3宇賀神友弥(15試合2得点)
8柏木陽介(15試合1得点)
7梅崎司(16試合1得点)
FW
30興梠慎三(16試合4得点)
SUB
GK18加藤順大(0試合0失点)
DF12濱田水輝(5試合0得点)
DF20永田充(7試合0得点)
MF11関口訓充(3試合0得点)
MF13鈴木啓太(12試合1得点)
MF26関根貴大(10試合1得点)
FW20李忠成(16試合3得点)
監督
ペトロヴィッチ
欠場予想選手
なし
→MF柏木陽介(腰痛で出場微妙)
前節の徳島戦とスタメンは変わらないと予想。連戦を考慮して、青木に代わって鈴木、平川に代わって関根がスタメンの可能性がある。古巣対戦となる興梠は1トップでのスタメンが濃厚。
→柏木が腰痛で前日練習を途中切り上げ。メンバー入りしているが李のスタメンの可能性も。(日刊スポーツより)
【要注意選手】
FW興梠慎三
…古巣対戦に燃える前線の柱は、浦和に加入して大きく成長したキープ力に加え、元々持っていた俊敏な動きも見せており、現在好調。昨年決められた屈辱を晴らす舞台は今節だ。