タケゴラ

鹿島アントラーズのことを書いています

2014/05

スコア以上の差で鹿島連敗

 鹿島はこの試合、ボランチに梅鉢を起用、2列目にカイオ、柴崎、ジャイールを置くという風に大幅にメンバーを変えてきた。ところがこれが裏目に出てしまう。12分という早い段階で梅鉢がカードを貰ってしまうことで、梅鉢から積極性が消え、バイタルエリアに漂うだけになってしまった。これにより名古屋にパスを回されるようになり、主導権を明け渡してしまった。すると、35分にカイオが倒れている間に柴崎のサイドチェンジを奪った名古屋の攻撃から最後は小川が決めて、先制点を奪われてしまう。主審がゲームを止めるべきだったというのもあるが、柴崎のプレーから最後のクリアしきれなかったところまで、全てが中途半端だった。

 この状況を見たセレーゾが動く。梅鉢に代えて土居を投入。すると、その直後に微妙な判定ながらPKを獲得し、これをダヴィが決めて同点に追いつくことに成功する。良い時間に追いついた流れを後半に持ち込みたかったが、54分にカウンターから失点。再びリードを許す展開となった。その後、野沢を投入し、最後は豊川も投入、植田も上げてパワープレーに出たが、最後まで得点は奪えなかった。主導権は握っているのだが、前線の動きが乏しかったのと、シュート意識の低さが表れた結果となってしまった。

 この試合は最初から最後までちぐはぐなまま終わってしまった。ベストメンバーではないがやることがはっきりしていた名古屋の方がよっぽどいいサッカーをしていたのは事実である。まだ連戦は川崎F戦を残している。今回は不発だったトニーニョ・セレーゾ監督のマネジメント能力が再び問われる。

[試合記録]
2014 Jリーグ ディビジョン1 第12節
2014年5月6日(火・祝) 15:00キックオフ
県立カシマサッカースタジアム 入場者数:15122人

鹿島アントラーズ鹿島アントラーズ
-2名古屋グランパス名古屋グランパス

[試合展開]
序盤から名古屋ペースで試合は進むと、35分にクロスを曽ヶ端がパンチングしてこぼれたボールを小川がヘディングでゴール。名古屋は先制に成功するが、前半終了間際に矢野がダヴィを倒してPKを献上。これをダヴィがきっちり決めて、鹿島が同点に追いつく。しかし、54分に名古屋は鹿島のCKからカウンターを仕掛け、松田のクロスに飛び込んだ玉田のヘッドで勝ち越しに成功。鹿島はその後人数をかけて攻めに出るが、最後まで名古屋の守備を崩せずに敗戦。ホームで痛い連敗を喫した。

[得点経過]
・35分 <名古屋>小川佳純(今季2点目)
・43分 <鹿島>ダヴィ(今季5点目 ※PK)
・54分 <名古屋>玉田圭司(今季2点目 アシスト:松田力)

[ハイライト動画]


[警告・退場]
12分 <鹿島>梅鉢貴秀(警告 累積2枚目)
42分 <名古屋>矢野貴章(警告 累積1枚目)
56分 <名古屋>小川佳純(警告 累積1枚目)
88分 <名古屋>玉田圭司(警告 累積2枚目)
90+1分 <名古屋>松田力(警告 累積1枚目)

[出場記録・寸評]
<鹿島>
GK
21曽ヶ端準 5 好守もあったが2失点。1失点目は防げた。
DF
22西大伍 5.5 攻撃に厚みを加えたが、2失点目は簡単にクロスを上げられた。
23植田直通 一発で取りに行く守備はリスクが高すぎる。基本技術が未熟。 
15昌子源 1失点目はクリアしきれず。疲れからか、振り切られることが多い。 
16山本脩斗 6 自分のサイドはほとんど崩されず。スタミナ切れも見られなかった。

MF
27梅鉢貴秀 5 カードを貰ってから、持ち味のアグレッシブさが消えた。
→MF28土居聖真(41分) 6 キレのあるドリブルでチームを押し上げた。シュート意識を高めたい。
40小笠原満男 良い意味でも悪い意味でも目立たず。バランス取りに苦心した。 
33カイオ 5 全く戦えていない。仕事をするのはボールが来た時のみ。
→MF19豊川雄太(77分) 5.5 得意のドリブルを披露できず。最後の決定機を決めたかった。
7ジャイール 5
ほとんど消えていた。守備の貢献度も低い。
→MF35野沢拓也(57分) 5.5 ボールを受けようと動き回ったが、いい形でボールは入らず。
FW
20柴崎岳 5 ポジショニングはいいが、運動量が少なすぎる。2失点目は彼のマーク。
11ダヴィ 5
 PKで得点こそ挙げたがそれだけ。闘莉王に封じられた。

監督
トニーニョ・セレーゾ 5 先発のチョイスが裏目に。バランスが悪すぎた。
鹿島 フォーメーション

<名古屋>
GK

1楢崎正剛 6.5
DF
19矢野貴章 5.5
3牟田雄祐 6.5
4田中マルクス闘莉王 7 MOM
15本多勇喜 6.5
MF
38枝村匠馬 5.5
→MF14田鍋陵太(78分) 5.5
28田口泰士 6
7中村直志 6
10小川佳純 6
→MF8ダニルソン(76分) 6.5
FW
11玉田圭司 6.5
17松田力 6.5
→MF5へジス(90+4分) -
監督
西野朗 6
名古屋 フォーメーション

<主審>
吉田寿光 
4.5 PKの判定は微妙。他にも見落としたファウルがいくつもあった。

組織と個の両面で名古屋を切り崩せ
 
 前節、柏に痛い黒星を喫して2位に転落した鹿島は連戦4試合目を、ホームカシマスタジアムに調子の上がらない14位名古屋を迎えて戦う。

 名古屋は西野監督が就任してからパスを繋いで相手ゴールに迫る手法を採用してきたが、ケガ人続出と連敗で方針転換。ブロックを作ってそのまま高くプレスをかけ、ショートカウンターに繋げるやり方に代えてきている。鹿島としてはこのボールを奪われた時のショートカウンターに気をつけたい。松田が走り込んでスペースを作り、そのスペースを玉田や小川が使って、DFラインの裏を狙うやり方はマークの受け渡しと自分のゾーンをきっちり守ることを意識して防ぎたい。また、長身の選手が揃うセットプレーにも要注意である。例え、競り勝てなくてもしっかりと体をぶつけていくことで、相手から自由を奪いたい。

 名古屋の守備の課題は最終ラインと中盤との間のスペースが生まれやすいことである。ボランチが前からプレスをかけているのに、最終ラインの位置取りが低いため、そこで間が空き、フリーでボールを受けやすくなっているのだ。鹿島としては、そのスペースを特に土居が前を向いて受けることでチャンスに繋げていきたい。また、名古屋の左SBの本多は1対1に強いが、右SBの矢野は今季SBにコンバートされたこともあって、まだ守備が拙いところがあるので、鹿島の左サイドはそこも突いていきたい。

 連戦の中では、いつものように組織での連動した動きをパーフェクトにこなすのは難しい。かといって、前節の柏戦のように個だけの単発な攻守では勝つことは出来ない。今節の鹿島は「組織」と「個」という、相反する二つの武器を上手く使い分けながら、勝利を目指したい。

2014 Jリーグ ディビジョン1 第12節
鹿島アントラーズ鹿島アントラーズ名古屋グランパス名古屋グランパス
5月6日(火・休) 15:00キックオフ
県立カシマサッカースタジアム

試合情報
スタジアムの天気
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対戦データ

[対戦相手情報]
名古屋グランパス
現在 14位 4勝7敗14得点20失点
西野新監督を迎えた今季は世代交代を進めながらのタイトル獲得を目指しているが、ここまで厳しい戦いを強いられている。原因はケガ人の多さだ。紅白戦も出来ないほど多く、西野監督にとっては難しいマネジメントが求められている状況だ。そのためメンバーも毎節のように入れ替わっている。GKは楢崎で固定されているが、DFラインはCBの闘莉王と左SBの本多以外は固定できておらず、右SBはFWが本職の矢野が務め、もう一人のCBは特別指定選手の大武や2年目のハーフナーが務めている。中盤も負傷者を抱えているが、このところボランチに中村と田口、2列目に枝村と小川で固定されている。FWは野田、ケネディが離脱中。さらに永井が前節負傷交代しており、玉田とルーキー松田の2トップが予想されている。前節は一度追いついて、相手が10人になりながらも勝ち越されて敗戦。今節での連敗は避けたいところだ。

[対戦相手の前節ハイライト]
J1第11節 VSC大阪 ×1-2(名古屋得点者:闘莉王(PK) C大阪得点者:柿谷、フォルラン)


[予想スタメン]
<鹿島>
GK
21曽ヶ端準
DF
22西大伍
23植田直通

15昌子源
16山本脩斗
MF
20柴崎岳
40小笠原満男
25遠藤康
28土居聖真
19豊川雄太
FW
11ダヴィ
SUB
GK1佐藤昭大
MF6中田浩二
MF7ジャイール
MF8ルイス・アルベルト
MF10本山雅志
MF27梅鉢貴秀
FW18赤﨑秀平
監督
トニーニョ・セレーゾ
鹿島 予想フォーメーション

欠場予想選手
MF宮内龍汰(左足甲外側の第5中足骨骨折で欠場濃厚)

この二日間は調整に努め、ほとんど名古屋戦に向けての練習は行っていないため、スタメンが全く読めない。おそらく、曽ヶ端、昌子、山本、小笠原、遠藤、土居のスタメンはほぼ確実だろう。柴崎もコンディションが良ければスタメンは濃厚だろう。その他は候補に挙げた選手のうち誰が入ってもおかしくはない。

【KEY MAN】
DF山本脩斗
…今節出場すればJ1通算100試合出場となる。ここまで昌子と共に公式戦全試合フル出場のため、疲労は否めないがそれでも最低限のクオリティは保ち続けている。闘莉王らターゲットが多い名古屋だけに、セットプレーでも攻守両面で期待がかかる。

<名古屋> ※()は2014シーズンの記録
GK
11楢崎正剛(11試合20失点)
DF
14田鍋陵太(3試合0得点)
3牟田雄祐(1試合0得点)
4田中マルクス闘莉王(11試合3得点)
15本多勇喜(11試合0得点)
MF
7中村直志(7試合0得点)
28田口泰士(7試合0得点)
38枝村匠馬(11試合0得点)
10小川佳純(11試合1得点)
FW
11玉田圭司(9試合1得点)
17松田力(10試合1得点)
SUB
GK50高木義成(0試合0失点)
DF24ハーフナー・ニッキ(2試合0得点)
DF29佐藤和樹(1試合0得点)
MF8ダニルソン(9試合0得点)
MF20矢田旭(3試合0得点)
MF23青木亮太(3試合0得点)
FW19矢野貴章(5試合1得点)
監督
西野朗
名古屋 予想フォーメーション

欠場予想選手
DF大武峻(ケガで出場微妙)
DF刀根亮輔(第2腰椎横突起骨折で欠場濃厚
MF磯村亮太(ケガで出場微妙)
MF望月嶺臣(右内転筋肉離れで欠場濃厚
MF森勇人(右膝前十字靭帯断裂で欠場濃厚
FW野田隆之介(ケガで欠場濃厚)
FW玉田圭司(足に違和感があり先発できるか微妙 ※遠征には帯同
FWケネディ(左太もも裏の痛みのため欠場濃厚
FW永井謙佑(左足首を負傷し、欠場濃厚
FW小屋松知哉(左膝前十字靭帯断裂で欠場濃厚

ケガ人続出の名古屋は牟田が復帰したが、前節で永井が負傷。今節は欠場となりそうだ。前節からハーフナーに代わって復帰した牟田かダニルソンがCBに入りそう。また、永井のところには前節永井に代わって途中出場した松田が入る。
→フォーメーションは玉田トップ下の4-5-1か、玉田が下がり気味の4-4-2。田鍋もケガから復帰。矢野に代わって右SBで先発か。田鍋も中盤からコンバートされたため、守備には不安あり。また玉田の先発が微妙。万が一の場合は矢野と松田の2トップか、松田を1トップに置き、トップ下に小川、左SHに矢田かダニルソンが入りそう。

【要注意選手】
FW玉田圭司
…今季リーグ戦はいまだ1ゴールながら、前線の軸としてチームをけん引するベテラン。あまり前線に張ることはせず、1列下がってCBとボランチの間のスペースを使って仕事をする厄介な存在だ。鹿島としてはこの男をフリーにしたくはない。

力負け。鹿島、柏の思惑通りに運ばれて首位転落

 連戦も3試合目。お互いの疲労もピークになりつつある中での、13時キックオフという厳しい条件での試合。お互いに序盤から先制点をつかむため、あまり最終ラインからじっくり組み立てるということはせず、鹿島はサイドの遠藤とカイオ、柏は前の工藤、田中、太田に当ててから攻撃を展開していくという方法で相手ゴールに迫った。そのためか、ロングボールが増え、試合は落ち着かない展開になった。

 それでもチャンスを作り出していったのは柏の方だった。前半から鹿島のSBの裏を執拗に突き、セットプレーでも枠にはいかないまでも、相手に競り勝ってシュートで終わっていた。そうした中で迎えた45分、小笠原のパスミスから柏がショートカウンターを仕掛けると、田中を潰しに行った昌子がボールを奪いきれず、ボールはフリーの工藤へ。工藤はGKを全く見ていなかったが、サイドネットに落ち着いて蹴り込み、柏が大きな先制点を手にして、前半を終えた。この時、鹿島はDFの対応が後手後手になっており、山本はDFラインを上げられず、植田は昌子が離した工藤のマークに行けていなかった。

 それでも後半は鹿島が攻めるようになる。最終ラインが高い位置を保ち、ボランチが高い位置でボールに触れるようになった。しかし、それでも攻撃のスピードに変化がないのと、シュート精度に欠け、なかなか得点が奪えない。トニーニョ・セレーゾ監督も野沢、ルイス・アルベルト、赤﨑と次々に攻撃のカードを切るが、最後まで攻撃が単発だったこともあり、攻める時間に見合った決定機の数は作れないまま試合は終わってしまった。

 鹿島としては連戦の疲労もあったことから、それほど深刻な敗戦ではないだろう。やはりミスを減らさなければ勝つことは出来ない。そう思わせるような一戦だった。

[勝負に水を差した愚行]
 82分、柏の相手陣内でのFKの際に試合が一時中断した。原因は鹿島サポーターが投げ入れたドラムスティック。投げ入れた本人は「手が滑った」と釈明しているとのことだが、距離的に見ればどう考えても投げ入れたとしか考えられない。また、当たらなかったから良かったとはいえ、目の前には柏のゴールを守っていた菅野がいた。当たっていれば、ケガにつながりかねない危険な行為である。

 フットボールに限らず、スポーツはお互いをリスペクトしなければ成立しない。皆が来やすい、より良い試合環境を作っていくためにも、また白熱した試合に水を差さないためにも、今回のようなことが二度とあってはならない。

鹿島サポ太鼓のバチがピッチに…試合中断(日刊スポーツ 5月4日付)

[試合記録]
2014 Jリーグ ディビジョン1 第11節
2014年5月3日(土・祝) 13:00キックオフ
日立柏サッカー場 入場者数:13650人

柏レイソル柏レイソル-0鹿島アントラーズ鹿島アントラーズ

[試合展開]
お互いに縦に早い攻撃の応酬となるなか、先制したのは柏。45分、田中のパスからフリーになった工藤が決めた。後半は鹿島が攻める場面が増えるも、攻撃が二次、三次と続かず、柏の守備陣に跳ね返され続けそのままタイムアップ。鹿島は今季2度目の完封負けで、首位転落。

[得点経過]
・45分 <柏>工藤壮人(今季3点目 アシスト:田中順也)

[ハイライト動画]


[警告・退場]
53分 <柏>茨田陽生(警告 累積1枚目)
55分 <柏>近藤直也(警告 累積3枚目)
69分 <鹿島>カイオ(警告 累積1枚目)

[出場記録・寸評]
<鹿島>
GK
21曽ヶ端準 6 失点はノーチャンス。リスタートの意識が高かった。
DF
24伊東幸敏 5 サイドの裏を突かれた。スピード勝負で負けるのは頂けない。
23植田直通 5.5 ミスが多かったが、身体能力の高さでカバーしてしまっていた。 
15昌子源 失点シーンは田中を潰しきれず。珍しく簡単にかわされる場面が目立った。 
16山本脩斗 5.5 高山のスピードに手を焼きながらも、カイオの分まで走りきった。

MF
20柴崎岳 5.5 ロングパスでチャンスは作ったが、守備が軽く疲労が目立った。
→FW18赤﨑秀平(76分) 5.5 89分のシュートチャンスは決めたかった。もっとパスを引き出したい。
40小笠原満男 5.5 誰よりも闘っていたが、失点につながるパスミスは痛恨。 
25遠藤康 5.5 キックの精度が悪く、前半で交代。簡単に競り負ける場面も。
→MF35野沢拓也(HT) 5 輝いた場面はボールに触れた時のみ。決定機も外した。
33カイオ
 5
最初は良かったが、徐々にトーンダウン。終盤はほとんどいないも同然だった。
FW
28土居聖真 5 前を向いた場面が少なく、怖さがなかった。
→MF8ルイス・アルベルト(72分) 6 パスミスがなく、チームに反撃のリズムをもたらした。
11ダヴィ 5.5
 近藤に封じられ決定機まで持って行けず。シンプルなポストプレーを活用してほしい。

監督
トニーニョ・セレーゾ 5 土居を下げるなら、疲労の目立ったカイオの方が良かったのでは?

鹿島 フォーメーション

<柏>
GK

21菅野孝憲 6
DF
4鈴木大輔 6.5
3近藤直也 6
23渡部博文 6
22橋本和 6.5
MF
13高山薫 6
7大谷秀和 6
→MF28栗澤僚一(73分) 6
20茨田陽生 6
26太田徹郎 6
→DF27キム・チャンス(90+3分) -
FW
18田中順也 6
→MF14狩野健太(88分) -
9工藤壮人 6.5 MOM
監督
ネルシーニョ 6

柏 フォーメーション

<主審>
東城穣 
6 何本か差し違いはあったが全体的には悪くないジャッジ。アドバンテージの使い方が上手かった。

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