タケゴラ

鹿島アントラーズのことを書いています

2014/04

接戦制して鹿島が連勝。身につけ始めた強さ

 試合が始まってからすぐに鹿島が押し込み始めた。カイオのスピードを活かして攻撃を仕掛け、5分には早くもCKから先制点を奪うという完璧な試合運び。その後もゴールこそ奪えないものの、畳みかけるようにチャンスを作っていった。

 しかし、落ち着きを取り戻した清水が徐々に攻勢を強めていく。吉田が高い位置を取る左サイドとこの日キレていた河井のドリブルがある右サイドという両サイドからの攻撃を中心にチャンスを作り、守ってはCBとボランチの4人が高い守備力を発揮してボールを奪い取っていった。

 後半も清水の流れが続く中で、ゴトビ監督は高木俊を投入してその勢いを強めていった。すると、57分にPA外のパス交換から高木俊が絶妙なクロス、それをこれまた絶妙な位置取りにいたノヴァコヴィッチがボレーで合わせ、清水が同点に追いつく。その後も清水は左サイドの高木俊の仕掛けを使い、追加点を狙っていった。鹿島もカウンターで清水ゴールに迫ったが、この時間は耐えることが多かった。

 結果的にここを耐えられたのは大きかった。特にCBコンビの奮闘が目立った。植田が積極的にノヴァコヴィッチにチャレンジし、昌子がカバーする。この関係が非常に効果的だったため、ノヴァコヴィッチに決定的な場面を作られたのは失点シーンぐらいだった。そうした守備陣の奮闘が報われたのは79分。野沢のCKからこぼれ球を植田、ダヴィがシュートしたがはじかれ、そのルーズボールを昌子がヘッドで落としたところにL・アルベルトが豪快にボレーで決めて勝ち越しに成功した。こうなるとあとは逃げ切るだけになり、鹿島は高木俊の所に青木を入れてしっかりとケア。小笠原の献身的なプレーも光り、見事に逃げ切りに成功した。

 この試合はお互いが持ち味を出したレベルの高い試合となった。こうした試合をモノに出来たのは大きい。課題だったチャンスを決めきれないという点も完全に解決したとは言えないが、最後に決めた点は十分に評価できるだろう。連戦2試合目も勝って連勝。その相手が上位だったことも考えていくと、チームは確実に強さを身につけ始めている。

[試合記録]
2014 Jリーグ ディビジョン1 第10節
2014年4月29日(火・祝) 15:00キックオフ
県立カシマサッカースタジアム 入場者数:15077人

鹿島アントラーズ2-1清水エスパルス

[試合展開]
立ち上がりは鹿島が圧倒。5分にCKから平岡のオウンゴールで鹿島が先制する。しかし、流れを取り戻した清水が攻勢を強めていく。後半に入ってもその流れは変わらず、57分に高木俊のクロスからノヴァコヴィッチが合わせて、清水が追いつく。その後は清水が攻める時間がやや多いものの、鹿島もチャンスをつくり一進一退の展開になる。すると、79分にCKから最後は昌子のヘッドをL・アルベルトが押し込んで鹿島が勝ち越し。そのまま逃げ切った鹿島が勝って、ホームで久々の勝利。

[得点経過]
・5分 <鹿島>オウンゴール
・57分 <清水>ノヴァコヴィッチ(今季5点目 アシスト:高木俊幸)
・79分 <鹿島>ルイス・アルベルト(今季1点目 アシスト:昌子源)

[ハイライト動画]


[警告・退場]
7分 <清水>ヤコヴィッチ(警告 累積1枚目)
23分 <鹿島>山本脩斗(警告 累積2枚目)
69分 <鹿島>植田直通(警告 累積2枚目)
90+1分 <鹿島>小笠原満男(警告 累積2枚目)

[出場記録・寸評]
<鹿島>
GK
21曽ヶ端準 6 失点はノーチャンス。ハイボールの処理が安定していた。
DF
22西大伍 5 攻め上がりはいいのだが、いかんせん守備が軽すぎる。
23植田直通 6.5 やや不安なところもあったが、粘りを見せた。惜しいシュートも。 
15昌子源 7 ナイスカバーを見せ、失点を防ぐ。アシストも記録した。 
16山本脩斗 5 前半は河井に翻弄された。退場にならなかったのが救い。
MF
20柴崎岳 5.5 運動量は多かったが、押し込まれた時の守備は課題。
40小笠原満男 6.5 ミスはあったが、さすがの読みでピンチの芽を摘んだ。 
25遠藤康 6 上手くサイドの裏を突き、チャンスを創り出した。
→MF8ルイス・アルベルト(78分) 7 ファーストタッチで決勝点。起用に見事に応えた。 MOM
33カイオ
 7
スピードを存分に活かした。守備の貢献度も高い。
→MF35野沢拓也(68分) 6 トラップ、キック共に精度が高く、ボールが上手く収まった。
28土居聖真 5 よく走り回ったが、消える時間が長かった。
FW
11ダヴィ 5.5 チャンスを決められず、C・ヨンアピンに潰されたが、その分守備で貢献。

→DF5青木剛(85分) - クローザーとして使えるのはなんとも贅沢だ。
監督
トニーニョ・セレーゾ 7 采配がズバリ的中。チームは確実に成長している。

鹿島 フォーメーション

<清水>
GK

1櫛引政敏 6
DF
28吉田豊 6
19ヤコヴィッチ 6.5
3平岡康裕 5.5
4カルフィン・ヨン・ア・ピン 7
MF
5村松大輔 5
→FW11高木俊幸(51分) 6.5
20竹内涼 6
→MF7本田拓也(85分) -
16六平光成 6
FW
17河井陽介 6.5
→FW22村田和哉(77分) 6.5
10大前元紀 5.5
18ノヴァコヴィッチ 6.5
監督
アフシン・ゴトビ 6

清水 フォーメーション

<主審>
家本政明 
6 コミュニケーション能力の高さで試合を上手く落ち着かせた。

連戦2試合目。次なる相手は一つになって波に乗る王国のオレンジ軍団

 前節、王者広島に対して完勝して首位に返り咲いた鹿島は今節ホームで好調の清水と対戦する。

 今季清水が今季好調なのは安定した守備からの鋭いサイドアタックにある。右SBにCBが本職のヤコヴィッチを置くことで、右サイドの守備がかなり安定した。ヤコヴィッチはビルドアップ、オーバーラップの能力は高くないが、1対1の守備と高さには絶対の自信があり、ここを崩すのはかなり難しいだろう。また、最終ラインにCBタイプの選手を3人置くことで、左SBの吉田が高い位置を取ることが出来、チームの中心である大前が自由に動きながら左サイドの攻撃をより活性化させている。右サイドにも突破力のある高木俊がおり、両サイドからのクロスで相手を崩すパターンが非常に多い。

 鹿島が守備で気をつけたいのは、むしろボールを持っている時である。不用意にボールを失うと、清水は一気に人数をかけて縦に速いカウンターを仕掛けてくる。中盤でのボールロストには細心の注意を払いたい。一方で前節の広島戦でハマったような前線のプレスをかける時は、ビルドアップに難のあるヤコヴィッチかプレッシャーに対して弱さを覗かせる六平の所に追い込んでボールを奪いたい。

 攻撃では相手が高い位置を取る鹿島側から見た右サイドを使いたい。吉田の裏を突いて、左CBのC・ヨンアピンを上手く引きずり出すことが出来れば、中央は手薄になるのでチャンスも増えていくだろう。また清水の竹内と六平のダブルボランチは決して守備が得意なタイプではないだけに、土居や柴崎がその脇のスペースを上手く突いていきたい。

 おそらく今節は、サイドでは清水、中央では鹿島が主導権を握ることになるだろう。清水は前節もそうだが立ち上がりに難がある所があるので、そこで先制点を奪って試合を優位に進めたい。またセットプレーもカギになるだろう。清水は長沢がいないとはいえ、ノヴァコヴィッチや平岡と強力なターゲットがいるだけに要注意だが、守備の際はマークが甘いところがあるので、そこは狙い所だ。中2日と厳しい日程だが、走り負けることは絶対に避けたい。

2014 Jリーグ ディビジョン1 第10節
鹿島アントラーズ清水エスパルス
4月29日(火・祝) 15:00キックオフ
県立カシマサッカースタジアム

試合情報
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対戦データ

[対戦相手情報]
清水エスパルス
現在 6位 5勝1分3敗 14得点11失点
上位進出を狙う今季は3月こそわずか1勝と出遅れたものの、4月はここまで公式戦全勝、しかも無失点と勢いに乗っている。好調の要因は安定した守備にある。右SBにCBが本職のヤコヴィッチを配置してから、サイドを崩されることが激減。メンバーを固定したことで、連係も高まってきた。攻撃面も持ち味のサイドアタックが機能。大前、河井、ノヴァコヴィッチらがそれぞれの持ち味を出している。懸念材料はここまで絶好調だった長沢が大ケガを負ってしまったこと。守備面での貢献度も高かった彼の不在は痛手だが、「駿のために」とチーム全体が結束した今の清水は一枚岩となってカシマに乗り込んでくる。

[対戦相手の前節ハイライト]
J1第9節 VS仙台 ○1-0(清水得点者:河井)



[予想スタメン]
<鹿島>
GK
21曽ヶ端準
DF
24伊東幸敏
5青木剛

15昌子源
16山本脩斗
MF
40小笠原満男
20柴崎岳
25遠藤康
28土居聖真
33カイオ
FW
11ダヴィ
SUB
GK1佐藤昭大
DF23植田直通
MF8ルイス・アルベルト
MF10本山雅志
MF27梅鉢貴秀
FW18赤﨑秀平
FW19豊川雄太
監督
トニーニョ・セレーゾ
鹿島 予想フォーメーション

欠場予想選手
MF宮内龍汰(左足甲外側の第5中足骨骨折で欠場濃厚)

日曜日がオフだったため、準備期間は1日しかない。スタメンは青木が復帰しそうだが、広島戦でまずまずのプレーを見せた植田の先発も考えられる。左SHは突破力のあるカイオがそのまま入るか。ベンチは流動的だ。ここまで続けて同じベンチメンバーで臨んだことがないため、今節も変更がありそう。

【KEY MAN】
MF柴崎岳
…ここ最近絶好調。今節は持ち味の鋭い飛び出しが活きる試合になるだろうし、彼の出来が勝利に直結するようになった今のチームでは活躍は欠かせない。課題の守備でも上手く河井を捕まえることが出来るか。

<清水> ※()は2014シーズンの記録
GK
1櫛引政敏(8試合7失点)
DF
19ヤコヴィッチ(7試合0得点)
3平岡康裕(9試合1得点)
4カルフィン・ヨン・ア・ピン(9試合0得点)
28吉田豊(8試合0得点)
MF
16六平光成(7試合0得点)
20竹内涼(8試合0得点)
11高木俊幸(7試合2得点)
17河井陽介(9試合1得点)
10大前元紀(9試合3得点)
FW
18ノヴァコヴィッチ(9試合4得点)
SUB
GK21相澤貴志(1試合4失点)
DF5村松大輔(5試合0得点)
DF27廣井友信(1試合0得点)
MF6杉山浩太(6試合0得点)
MF7本田拓也(3試合0得点)
MF22村田和哉(7試合0得点)
MF23高木善朗(1試合0得点)
監督
アフシン・ゴトビ
清水 予想フォーメーション

欠場予想選手
GK三浦雄也(虫垂炎で欠場濃厚
MF石毛秀樹(ケガで出場微妙)
FW長沢駿(右膝前十字靭帯断裂で欠場濃厚

大ケガの長沢に代わって高木俊がスタメンに入っている。前節の仙台戦では高木俊トップ下、河井右SHでスタートしたが、前半途中から2人を入れ替えてやった方が機能していたため、今節はスタートから後者の布陣を採用するだろう。最前線にはノヴァコヴィッチが入る。ベンチで気をつけたいのは抜群のスピードで右サイドを切り裂く村田。去年のアウェイ戦ではこの男のクロスから決勝ゴールが生まれている。古巣対戦となる本田はベンチスタートが濃厚。

【要注意選手】
MF河井陽介
17

…中盤からSBまでこなすユーティリティ。ここ最近は2列目で起用されており、持ち前のパスセンス、ドリブルを活かして攻撃を活性化させている。ノヴァコヴィッチの近くでプレーする彼を捕まえ切れないと、失点の可能性は高いだけに要注意だ。

リベンジ果たす。鹿島、連戦初戦を勝利で再び首位へ

 序盤、鹿島は前線からのプレスで相手のビルドアップでの自由を奪う作戦に出ると、これが見事にハマった。序盤から相手を押し込むと、10分に千葉と林の軽率なミスからダヴィがボールを奪い、最後はカイオが決めて先制する。これで勢いに乗った鹿島は19分にもカイオのボール奪取をきっかけに小笠原から柴崎、土居と繋いで2点目を奪い、20分で完全に流れを鹿島の物とし、その後の試合を優位に進めた。

 しかし、このプレスが90分は続かないと認識していた鹿島はその後は全体的に引き気味にゲームを進み、カウンターを繰り出していく展開に持ち込んだ。こうなると広島はサイドに勝機を見出していこうとするが、鹿島もそこをわざと攻めさせており、中へのクロスはしっかりとCBが跳ね返していった。こうしてゲームを落ち着かせていった鹿島は54分に遠藤がFKを直接決めて試合を決め、そのまま広島に大きなチャンスも作らせずに試合を終え、見事に完勝した。

 ただ、この勝利で気をつけておきたいのは広島の状態の悪さである。ビルドアップの部分でミスが多く、またセンターラインの特に青山と高萩の調子が悪いため、そこでボールをキープできなかったのは攻撃が単調になってしまった大きな要因だろう。また全体的に運動量が少ないのに、最後まで消えていた佐藤を代えなかったのも鹿島の守備陣を助ける要因になっていた。

 とはいえ、この勝利は悪い流れを断ち切った意味でも、広島への苦手意識を取り除いた意味でも大きな勝利になるだろう。戦術が機能したことはチームにとって大きな自信になったはずである。早い段階で首位に返り咲けたことで良い意味での余裕も出てくるだろう。連戦の初戦を取り、鹿島はさらに加速していく。

[試合記録]
2014 Jリーグ ディビジョン1 第9節
2014年4月26日(土) 19:00キックオフ
エディオンスタジアム広島 入場者数:16992人

サンフレッチェ広島0-3鹿島アントラーズ

[試合展開]
10分、広島のビルドアップのミスを見逃さなかったダヴィがボールを奪い、カイオにパス。1対1を落ち着いて決めて鹿島が先制すると、19分には相手がプレーオンで止まった隙を見逃さずに、柴崎のスルーパスから土居が決めて2点目。54分には遠藤のFKが直接ゴールに吸い込まれて3点目。守っても広島に攻め込まれるシーンはあったものの、最後の一線は割らせず公式戦4試合ぶりの完封。鹿島が森保体制の広島から初勝利を挙げ、3節ぶりに首位に返り咲いた。

[得点経過]
・10分 <鹿島>カイオ(今季2点目 アシスト:ダヴィ)
・19分 <鹿島>土居聖真(今季4点目 アシスト:柴崎岳)
・54分 <鹿島>遠藤康(今季5点目)

[ハイライト動画]


[警告・退場]
7分 <鹿島>昌子源(警告 累積1枚目)
27分 <鹿島>植田直通(警告 累積1枚目)
42分 <鹿島>伊東幸敏(警告 累積1枚目)
49分 <鹿島>山本脩斗(警告 累積1枚目)

[出場記録・寸評]
<鹿島>
GK
21曽ヶ端準 6.5 守りの時間自体が長くなかったが、訪れたピンチは確実に止めた。
DF
24伊東幸敏 5.5 裏を徹底して突かれ、やや安定感に欠けた。
→DF22西大伍(71分) 6 リーグ戦今季初出場。まずまずのプレーで試合を終わらせた。
23植田直通
 6
 リーグ戦初先発も自分の役割をはたしてチームに貢献。
15昌子源 6 DFリーダーとして最終ラインをけん引。植田と組むとカバーリング力がより光る。
16山本脩斗 6 攻め上がりは少なかったものの、柏に落ち着いて対応した。
MF
20柴崎岳 6.5 ピンポイントスルーパスで2点目をアシスト。彼のプレーがチームのバロメーター。
40小笠原満男 6 攻守の切り替えのスイッチは全てこの男が入れていた。
25遠藤康 6.5 守備での貢献度が高かった。リーグ戦初めて直接FKでゴールも。
33カイオ 6.5 荒削りではあるが、全てを帳消しにするあのスピードは強力な武器だ。
FW
28土居聖真 6.5 得点に絡む機会が増えてきた。相変わらずの運動量も多い。 MOM
→MF8ルイス・アルベルト(76分) 6 ピッチに立つと存在感がある。高さで相手の攻撃を跳ね返した。
11ダヴィ 6.5 彼のプレスを広島の守備陣は確実に嫌がっていた。

→MF19豊川雄太(82分) - 久々の出場。展開と時間を考えればまずまず。
監督
トニーニョ・セレーゾ 7 相手の出来の悪さもあったが、広島対策がハマり見事勝点3をゲット。

鹿島 フォーメーション

<広島>
GK

1林卓人 4.5
DF
33塩谷司 5
5千葉和彦 5
4水本裕貴 5.5
MF
18柏好文 5.5
6青山敏弘 5
→MF7森﨑浩司(60分) 5
8森﨑和幸 5
27清水航平 6
→MF16山岸智(71分) 5.5
9石原直樹 5.5
10高萩洋次郎 5
→MF24野津田岳人(71分) 5
FW
11佐藤寿人 5
監督
森保一 5

広島 フォーメーション

<主審>
西村雄一 
全体的に妥当なジャッジ。ファウルの多さは選手に問題がある。

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