タケゴラ

鹿島アントラーズのことを書いています

2014/03

完敗。この負けを次に活かすしかない

 快晴のカシマスタジアムには3万人を超える大観衆が集まった。この熱気とリーグ戦3連勝で得た勢いで、C大阪も叩きたかったが、結果は完敗。現状の力がまだまだだということを思い知らされる結果となった。

 試合の入り方自体は決して悪くはなかった。C大阪にボールを保持されることはある程度想定して、中を固めフォルランと柿谷には自由にやらせず、ボールを奪ったら素早く前線に運ぶ。これまでリーグ戦3連勝をもたらした戦い方をこの試合でも実行しようとした。ただ、この試合ではその戦術の要であるダヴィが完全に封じられた。得意のフィジカル面で山下に完敗。こうなると、フィニッシュまで行けず、我慢の時間が長くなる。先制点はそうした展開で許したものだった。しかし、確かに失点は昌子の中途半端な対応が招いたものではあるが、あの場面の対応は決して簡単なものではないことから、巻き返しは十分に可能だった。

 実際にその後、試合は鹿島のペースになった。ショートパスを使いながら、小笠原や土居が上手く山口らC大阪のプレスをかいくぐれるようになってきたのである。しかし、そこからの工夫が足りなかった。ダヴィが封じられている以上、中央突破には限界がある。しかし、サイド攻撃は右サイドしか機能せず、左サイドの攻撃とサイドチェンジはほとんど見られなかった。このあたりの工夫があれば、前半で追いつくことも不可能ではなかったように思われた。

 トニーニョ・セレーゾ監督もそこに手を打つ。後半から本山とジャイールを投入して、修正を図ったのだ。そこからは徐々にチャンスの数も増えてきた。しかし、得点の匂いはしてこない。前線のシュート意識が低く、バイタルエリアでもパスを繋いで崩そうとしているからだ。引いた相手を崩すには効果のあるミドルシュートと個の力によるサイド突破がこの試合は少なく、シュートの割に決定的な場面は少なかった。攻撃のバリエーションが現状ではあまりにも少なすぎるので、引いた相手を崩すレベルには達してないように思えた。そうした時間が続いた86分に、パス交換からC大阪に完全に崩され決定的な2点目を許し、この時点で試合は決まってしまった。

 昨季からメンバーが若返りながら、守備は改善傾向にあると思う。失点自体はミスや集中力の欠如によるものが多く、決して戦術が機能していない訳ではない。しかし、攻撃力は昨季よりも確実に低下している。まだセットプレーとカウンターでしかゴールを奪えておらず、遅攻の質が低い。まだまだ伸びしろのあるチームなので、この完敗を糧にして次に繋げてくれればいいが、優勝を目指すチームがこのような試合を繰り返している余裕はない。

[試合記録]
2014 Jリーグ ディビジョン1 第4節
2014年3月23日(日) 15:00キックオフ
県立カシマサッカースタジアム 入場者数:32099人

鹿島アントラーズ-2セレッソ大阪

[試合展開]
前半19分にセットプレーから長谷川が決めてC大阪が先制。その後は鹿島がボールを保持し攻め込むも、山口や山下を中心にしたC大阪守備陣をなかなか崩すことが出来ない。後半からセレーゾ監督は、本山とジャイールを投入するが、1点が遠い。すると86分にフォルランにJリーグ初ゴールを許し、万事休す。鹿島は首位こそキープしたが、完敗で今季初黒星。

[得点経過]
・19分 <C大阪>長谷川アーリアジャスール
・86分 <C大阪>フォルラン

[ハイライト動画]


[警告・退場]
44分 <鹿島>遠藤康(警告)
49分 <C大阪>長谷川アーリアジャスール(警告)
53分 <鹿島>ダヴィ(警告)

[出場記録・寸評]
<鹿島>
GK
21曽ヶ端準 5.5 2失点はノーチャンス。止めるべきピンチは確実に止めていた。
DF
24伊東幸敏 5 南野の対応に苦戦。サイドを駆け上がったが、クロスにはつながらなかった。
5青木剛 5.5 2失点はしたが自身の所は崩されなかった。ラインをもう少し上げたい。
15昌子源 5 1失点目の対応は中途半端。CKからのヘディングは決めたかった。
16山本脩斗 5.5 杉本との高さ勝負では分が悪かった。もっとボールを呼び込みたい。
MF
20柴崎岳 5 ことごとく球際で勝てず。彼の所で奪われると厳しい。
40小笠原満男 5.5 上手く動いて、相手のプレスをかいくぐっていた。ミドルシュートが欲しい。
25遠藤康 5.5 アイデアは見せたが、相手守備陣を崩すには至らず。
19豊川雄太 4.5 いつになく動きが少なかった。ポジショニングも悪い。
→MF7ジャイール(HT) 5.5 連係面はまだまだだが、今後に期待は出来るプレー内容。
FW
28土居聖真 5.5 ボールの引き出し方は悪くなかっただけに、もう少し見たかった。
→MF10本山雅志(HT) 5.5 縦パスが良く通っていたが、チャンスには繋がらず。
11ダヴィ 5 山下に完敗。彼を封じられると攻撃の半分近くが機能しなくなってしまう。

→MF33カイオ(75分) 5 思い切りはいいのだが、相変わらずプレーが荒く、使いづらい。
監督
トニーニョ・セレーゾ 5 攻撃のバリエーションの無さを露呈。采配も機能したとは言い難い。

鹿島 フォーメーション

<C大阪>
GK

21キム・ジンヒョン 6.5
DF
14丸橋祐介 6
17酒本憲幸 6
23山下達也 7.5 MOM 
30ゴイコ・カチャル 7
MF
5長谷川アーリアジャスール 6
→MF18ミッチ・ニコルス(90+1分) -
6山口蛍 7
13南野拓実 6.5
→MF2扇原貴宏(71分) 6
20杉本健勇 6
FW
8柿谷曜一朗 6.5
10フォルラン 6.5
→FW9永井龍(89分) -
監督
ランコ・ポポヴィッチ 6

C大阪 フォーメーション

<主審>
吉田寿光 
4 ジャッジの基準がC大阪寄りだったのもあるが、鹿島側にはどうにも不満の残る判定が多かった。

今季の試金石となる一戦。勝ち点3で再び上昇気流へ

 ナビスコFC東京戦の敗戦から中3日で、鹿島はホームにC大阪を迎える。ここまでリーグ戦3連勝と波に乗っていた中での敗戦で、チームには嫌な空気も流れているが、ここはしっかりと勝ち点3を掴み取って断ち切りたいところ。
 
 そんな今節の相手は今Jリーグで最も話題になっているチームの一つ、C大阪。何といっても、柿谷とフォルランのコンビである。技術が高く、シュートレンジの広いこの2人を自由にしていては鹿島に勝利はない。また、南野、杉本の両翼2人や、長谷川、山口のボランチコンビも個人能力が高く、局面を打開できる力を持つだけに要注意だ。ポイントとしては、まず中央で自由にやらせないこと。パス交換で崩されると、どうしても後手後手になってしまい、フリーの状況を作られやすい。出来るだけサイドに追い込んで、クロスを上げさせて、昌子と青木でしっかりと跳ね返す展開にしたい。
 
 また、攻撃陣に目が向きがちだが、C大阪は守備の堅いチームでもある。特に山下とカチャルのCBは対人能力が高く、1対1が非常に強い。ダヴィのフォローを土居が素早くしないと、ダヴィが孤立しかねない。また、サイドの豊川、遠藤がサイドの攻防で先手を取れれば、有利に試合を進められるだろう。SBの酒本と丸橋はSB出身ではないので、決して守備が得意とは言えない。チャンスは十分にある。
 
 さらに、活かすべきは得意のセットプレーだ。C大阪はクルピ時代にスライディングを練習で禁じていた影響か、山口以外は守備が決して上手くはなく、手を使って守る傾向がある。特に、南野と杉本は顕著で、軽率なファウルが多い。鹿島としては、その弱点を突いて得意のセットプレーを多くもらい、得点を奪いたい所である。
 
 鹿島としてはここでの勝敗で、この先の流れが大きく左右されると思う。FC東京戦は立ち上がりの2失点でかなりゲームが難しくなってしまっただけに、立ち上がりを集中して入り、試合の流れを見極めて勝ち点3を手にしたい。

2014 Jリーグ ディビジョン1 第4節
鹿島アントラーズセレッソ大阪
3月23日(日) 15:00キックオフ
県立カシマサッカースタジアム


試合情報
スタジアムの天気
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スカパー!オンデマンド配信リンク
対戦データ

[対戦相手情報]
セレッソ大阪
現在 3位
長年チームを率いたクルピ監督が退任し、強化部が一新。今季から昨季までFC東京を率いていたランコ・ポポヴィッチを新監督に迎え、悲願のタイトルを狙う。柿谷、山口という代表コンビや扇原、南野、山下といった実力者に今季はFC東京から長谷川、さらに元セルビア代表のゴイコ・カチャル、そしてW杯南アフリカ大会得点王&MVPのフォルランを獲得。「史上最攻」をスローガンに掲げた今季は、開幕戦こそ広島に敗れたものの、徳島、清水に連勝。調子は上向きだ。

[予想スタメン]
<鹿島>
GK
21曽ヶ端準
DF
24伊東幸敏
5青木剛
15昌子源
16山本脩斗
MF
40小笠原満男
20柴崎岳
25遠藤康
28土居聖真
19豊川雄太
FW
11ダヴィ
SUB
GK1佐藤昭大
DF23植田直通
MF7ジャイール
MF8ルイス・アルベルト
MF10本山雅志
MF27梅鉢貴秀
FW18赤﨑秀平
監督
トニーニョ・セレーゾ
鹿島 予想フォーメーション

欠場予想選手
なし

スタメンは前節と同じ。曽ヶ端も万全の状態でスタメン復帰できそうだ。ベンチは流動的。佐藤、ルイス・アルベルト、本山はほぼ確定と予想しているが、他は野沢や中村、植田など誰が入ってもおかしくない。ジャイールはこの試合から出場可能。ベンチ入りして、外国人枠の関係でカイオが漏れると予想。
報道によると植田のベンチ入りが濃厚とのこと。
体調不良により、曽ヶ端の出場が微妙とのこと(23日のスポーツ報知より

【KEY MAN】
FWダヴィ
…甲府戦以降、公式戦3試合ゴールなしは本人にとってもストレスなはず。今節は山下とカチャルというレベルの高いCBが相手だが、セレッソとの相性は悪くない。昨季のカシマでのC大阪戦で見せたような活躍をもう一度。

<C大阪> ※()は2014シーズンの記録
GK
21キム・ジンヒョン(3試合2失点)
DF
17酒本憲幸(2試合0得点)
30ゴイコ・カチャル(3試合1得点 ※ハンブルガーSV(ドイツ)から新加入)
23山下達也(3試合1得点)
14丸橋祐介(3試合1得点)
MF
5長谷川アーリアジャスール(3試合0得点 ※FC東京から新加入)
6山口蛍(3試合1得点)
20杉本健勇(3試合1得点)
8柿谷曜一朗(3試合0得点)
13南野拓実(3試合0得点)
FW
10フォルラン(3試合0得点 ※SCインテルナシオナル(ブラジル)から新加入)
SUB
GK1武田博行(0試合0失点 ※北九州から新加入)
DF2扇原貴宏(3試合0得点)
DF3染谷悠太(0試合0得点 ※京都から新加入)
DF7新井場徹(1試合0得点)
MF11楠神順平(3試合0得点)
MF18ミッチ・ニコルス(1試合0得点 ※メルボルン・ビクトリー(オーストラリア)から新加入)
FW9永井龍(1試合0得点 ※パース・グローリーFC(オーストラリア)から新加入)
監督
ランコ・ポポヴィッチ
C大阪 予想フォーメーション

欠場予想選手
GKク・ソンユン(左手第五基節骨骨折で欠場濃厚
DF藤本康太(左下腿三頭筋損傷で欠場濃厚
MF吉野峻光(左膝前十字靱帯断裂で欠場濃厚

前節から長谷川をボランチに下げ、フォルランの1トップに、柿谷トップ下、杉本を右サイドで起用している。この布陣で今節もこのまま行くと予想。古巣対戦となる新井場はベンチスタートが濃厚。

【要注意選手】
FWフォルラン
…言わずと知れた現役ウルグアイ代表にして、W杯南アフリカ大会得点王&MVP。特筆すべきはシュートレンジの広さとその正確性で、これまで世界で数多くのゴールを挙げてきた、「ホンモノ」の助っ人。まだ本調子ではないが、徐々に連係も深まってきており、鹿島DF陣はこの男に一瞬のスキも与えてはならない。

[試合記録]
2014Jリーグヤマザキナビスコカップ/Aグループ 第1節
2014年3月19日(水) 19:00キックオフ
味の素スタジアム 入場者数:10353人

FC東京3-1鹿島アントラーズ

[試合展開]
どこかピリッとしない鹿島の立ち上がりを2トップに変更したFC東京が攻め立てた。8分、10分と立て続けにゴールし、2点を先制。2点を追う鹿島だが、FC東京の中を固めた守備になかなか攻撃の糸口を見いだせない。後半、本山が入って活性化したが、決定的な3点目を三田に奪われてしまう。その直後、小笠原のパスから本山が決めて1点を返すも、反撃もここまで。鹿島は2年連続でFC東京を相手に、ナビスコ初戦を落とした。

[得点経過]
・8分 <FC東京>河野広貴
・10分 <FC東京>太田宏介
・71分 <FC東京>三田啓貴
・72分 <鹿島>本山雅志

[ハイライト動画]


[警告・退場]
35分 <FC東京>松田陸(警告)
44分 <FC東京>河野広貴(警告)
57分 <鹿島>昌子源(警告)
76分 <鹿島>ダヴィ(警告)

[出場記録・寸評]
<鹿島>
GK
1佐藤昭大 5 判断が遅く、あまりにもあっさりと失点している。
DF
24伊東幸敏 5 2失点目はしっかりと太田にカバーに行くべきだった。
5青木剛 5 3失点目は体格で勝っているのに、三田に競り負けた。
15昌子源 5 他の対応は悪くなかっただけに、1失点目の対応が悔やまれる。
16山本脩斗 5 積極的に攻撃参加したが、精度が低すぎる。
MF
20柴崎岳 5 存在感が希薄。縦パスの成功率も低かった。
40小笠原満男 5.5 動きは良くなかったが、本山へのパスはさすが。
→MF27梅鉢貴秀(73分) 5.5 持ち味を発揮したとは言い難い。もっと顔を出したい。
25遠藤康 5 よくボールに絡んだが、効果的とは言い難かった。
19豊川雄太 5 まったく試合に絡めず途中交代。ただ見切られるのが早すぎた面も。
→FW33カイオ(55分) 5.5 スピードを活かしたドリブルはアクセントになるだけに、ポジショニングを工夫したい。
FW
28土居聖真 5 試合から消えていた。サイドに流れて受けても良かったのでは?
→MF10本山雅志(HT) 6.5 この人の下にはボールが良く集まる。ゴールも見事。
11ダヴィ 5 ボールがなかなか来ず、来ても森重に封じられた。

監督
トニーニョ・セレーゾ 5 メンバーをほぼ変えず敗戦。日曜に向けて、修正に期待。

鹿島 フォーメーション

<FC東京>
GK

1塩田仁史 6
DF
50松田陸 6.5
29吉本一謙 6
3森重真人 6.5
6太田宏介 7
MF
7米本拓司 6.5
22羽生直剛 5.5
→MF18石川直宏(79分) 6
34野澤英之 6
FW
9渡邉千真 6.5
→FW14武藤嘉紀(59分) 6.5
13平山相太 5.5
17河野広貴 7 MOM
→MF8三田啓貴(54分) 6.5
監督
マッシモ・フィッカデンティ 6.5

FC東京 フォーメーション

<主審>
村上伸次 
6 安定したジャッジ。繰り返しの反則を厳しく取った。

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