明治安田生命J1リーグ 第25節

鹿島アントラーズ 1大宮アルディージャ
(得点)
33分 [鹿島]金崎夢生(←金森健志)

両チームのスタメンは以下の通り。鹿島は右SBに伊東、ボランチにレオ・シルバ、2列目に土居、そしてトップには金森が起用された。一方の大宮は、CBに山越が入った以外は前節と同じスタメンだ。
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大宮の狙いと鹿島の対応

 監督交代後の大宮はポゼッションに特徴を持つチームだ。ビルドアップ時はCBに加えて左SBの和田かアンカーのカウエ、時にGKの加藤順の3枚で鹿島の2トップに対して数的有利を作ってボールを前進させてくる。さらに、そこにインサイドハーフの2枚や1トップの江坂が降りてボールを受けて、サイドに展開。そこからのクロスでゴールが大宮の狙いだった。立ち上がりに訪れた奥井のクロスに江坂がヘディングで合わせたシーンは、まさにその狙っていた形が表現されていた。

 立ち上がり、この大宮の攻撃を中々捕まえられなかった鹿島は、ロングボールを相手SBの裏に蹴り込んでそこに2トップを走らせるやり方で陣地の回復を図っていった。大宮の両CBがアジリティに難を抱えているのもあったし、何よりこの日起用された金森を活かす意味でもこの方策は大きかった。決定的なシーンやフィニッシュまでには至らないものの、この繰り返しによってピッチには確実に変化が生まれていった。

15分過ぎからの変化

 鹿島がロングボールを蹴り込んでいくことによって、大宮のラインはそれを警戒してか自然と下がっていった。これによって、鹿島はプレッシャーの少なくなった最終ラインから中盤でボールを握ることに成功。試合を落ち着かせながらも徐々に主導権も握っていった。また、守備も降りていったインサイドハーフに対してボランチがマンマーク気味に付いていくことで対応。これによって、相手のプレーを制限させ、また万が一そこで外されてもCBともう片方のボランチの3枚の高い個々の守備力で守り切れるという判断だったのだろう。

 鹿島の先制点はこの流れの中で生まれた。もっとも、前半の鹿島は2列目の組み合わせや大宮の守備ブロックもあって、どうしても外外からのクロスに頼る攻撃が多かったのだが、先制点のシーンは金崎が中央付近でボールを持ったところから始まった。ドリブルする金崎に合わせて、金森が裏へと走り込んで相手のDFラインを押し下げる。そして、サイドに流れた金森へ金崎がパス。最後はサイドで持ち込んだ金森のクロスに走り込んだ金崎が合わせて鹿島が先制する。この押し込んだ時間帯での先制点は、結果的には非常に大きかった。



次の手

後半になると両チームが動く。鹿島は左足の違和感を訴えた遠藤に代わって安部。一方、大宮は前半の終わり頃から布陣を4-2-2-2に変えていた。
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だが、ここで大宮にアクシデント。マルセロ・トスカーノが負傷交代となり、大前がピッチに入る。ここで大宮は大前を活かすために布陣を4-2-3-1に再度変更した。
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 ただ、布陣が変わったとはいえ、大宮の後半からの狙いは変わらない。前半、ある程度ボールが握れて、しかも前線のアタッカーが鹿島守備陣に対して戦えていることに手ごたえを感じた大宮は、前線の枚数を明確な形で増やし、クロスに飛び込める人数を増やしたのだった。

 一方、鹿島はアクシデントとはいえ入った安部が変化をもたらした。前述したようにどうしても前半は外外の攻撃が多くなっていた鹿島だが、中央でも受けて前を向いて仕掛けられる安部が入ったことで、中央からの攻撃も増え、前半よりチャンスの数は増えていったのである。

マンマークの功罪

大宮は58分に動く。カウエに代えて清水を投入。清水が左SHに入り、茨田がボランチに下がった。
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 これは先程のターゲット役を増やす意図に沿って行われた交代であるが、後半の半ばからはボールポゼッションを完全に大宮が掌握していった。これは鹿島の運動量が落ち、まず前線で相手のパスコースが制限できずに、また下がることでゴールまでの距離も遠くなって、カウンターが成立しにくくなってしまったこと。また、マンツーマンで守っていた鹿島だったが、前に出ていくことが出来ずに大宮のボランチにチェックに行けなくなってしまったこと。この二つが大きく響き、終盤鹿島は守勢の時間が続き、苦しい戦いを強いられるようになってしまったのだった。

 だが、ここで鹿島は崩れなかった。疲労もあった中だったがブロックは崩さず、相手のクロスもCBを中心にことごとく跳ね返していった。

この後、両チーム動いて、最終的には以下のような布陣になった。
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※[訂正]鹿島の左SHは安部→永木

 終盤、大宮は岩上を投入してロングボールが増えていくが鹿島も落ち着いて対応。逆にカウンターからいくつかチャンスを作り出すも、決め切ることが出来ず1-0のまま試合は進んでいく。ただ、最後はロングスローで放り込んできた大宮の攻撃を最後まで跳ね返し続けてゲームセット。鹿島がウノゼロでリーグ戦3連勝を飾った。

おわりに

 カウンターから2点目を入れて仕留めることが出来ず、また運動量が落ちた中で次の手がやや後手に回ってしまったのは反省材料だろう。ただ、結果として無失点で終わらせたこと、何よりチームとしてゲームプランを統一した意思を持って完遂できたことは大きく評価できるポイントだろう。また、抜擢された金森が結果を残し、ここに来てポジション争いを加速させてくれたのも、チームにとってはプラス材料なのは間違いない。

 次節はアウェイで新潟戦。しっかり勝って、下からの追い上げを許さないようにしたいところだ。




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