スコアこそ1-0と鹿島は辛勝のようにも思えるが、実際の試合内容には鹿島と甲府に大きな差があったと言える内容だろう。立ち上がりから、甲府は前節の反省を活かして、DFラインと中盤のブロックの間のスペースを縮めて、コンパクトに引いて守る戦術を採用してきた。これによって、鹿島はボランチの所にそれほどプレッシャーがかからず、フリーで配球することが出来ていた。そこで、鹿島は無理にそのブロックの間に縦パスを入れるのではなく、サイドの裏のスペースに長いパスを通すことで打開を図った。そうしたことでサイドの裏のスペースにダヴィと金崎が走り込み、そこで起点を作ることで相手を押し下げて、チャンスを作り出すシーンが多かった。一方で、守備においても前線からの積極的な守備によって、バレーへのロングボールを制限。これで鹿島のCBは、確実に相手の攻撃を跳ね返すことが出来、ほとんどチャンスを作らせなかった。こうして、前半完全に主導権を握った鹿島だったが、迎えたチャンスを河田の好セーブもあって決めることが出来ず、結局スコアレスで前半を折り返した。

 後半も鹿島の流れは変わらなかった。しかし、スコアレスの時間が長ければ長いほど、甲府の思い通りの展開になり、鹿島には焦りが生じてくる。そうした展開は避けたい中で、鹿島は一瞬のスキを突いた。61分、セットプレーの流れから得たスローインで遠藤がボールを受けると、甲府DFのチェックが甘いことを見逃さなかった遠藤は、中に切れ込み速いクロスを上げた。これに金崎がヘッドで合わせると、ついに甲府の牙城を破り鹿島は先制に成功した。この後、甲府が堀米と松本を投入し、鹿島の左サイドを押し込まれるシーンがやや目立ったが、ピンチにはほとんど至らず。逆に鹿島が2点目を決めて、試合を決めることは出来なかったが、盤石の試合運びでゲームを締めて、試合終了。しっかりと、勝点3を持ち帰ることに成功した。

 何度もあった決定機を一度しかものに出来ず、もどかしい時間が続いてしまったことは課題だが、連敗しなかったこと、概ね狙い通りに試合を進められたことは収穫だろう。2ndステージの頂に立つために、鹿島はしっかりと再スタートを切ることに成功した。

[試合記録]
2015明治安田生命J1リーグ 2ndステージ 第11節
2015年9月19日(土) 17:04キックオフ
山梨中銀スタジアム 入場者数:12131人

ヴァンフォーレ甲府ヴァンフォーレ甲府0-1鹿島アントラーズ鹿島アントラーズ

[得点経過]
61分 <鹿島>金崎夢生(今季7点目 アシスト:遠藤康[今季5アシスト目])

[ハイライト動画]


[データ]

甲府項目鹿島
5シュート19
5CK6
15FK10
1オフサイド3
0PK0

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[警告・退場]
26分 <鹿島>ファン・ソッコ(警告 累積2枚目)
32分 <甲府>阿部拓馬(警告)
45+1分 <鹿島>青木剛(警告 累積1枚目)
68分 <甲府>松橋優(警告)

[フォーメーション]
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[出場記録、採点・寸評]
<鹿島>
GK
21曽ヶ端準 6 枠に飛んでくるボールが少なく、守備機会がほとんどなかった。
DF
22西大伍 6 攻守共に概ね安定していたが、阿部拓に奪われてあわやという場面も。
14ファン・ソッコ 6.5 バレーに一歩も引かない守備を見せたが、イエローと決定機逸で減点。
5青木剛 6.5 綻びを見せたのはイエローのシーンぐらいで、的確なカバーリングを見せた。
16山本脩斗 6.5 キレが抜群で何度も左サイドを切り裂き、チャンスに絡んだ。
MF
20柴崎岳 6.5 高い位置でのボール奪取やチャンスメイクが目立った。攻守の切り替えをもっと早くしたい。
40小笠原満男 6.5 プレッシャーがかからなかったこともあって、長短のパスでチャンスを演出した。
25遠藤康 6.5 前を向いてプレーする機会が多く、1アシスト以外に何度も決定機に絡んだ。
7カイオ 6 前線との絶妙な距離感でチャンスに絡む。決定機逸がなければもっと高評価だった。
→FW34鈴木優磨(80分) 6 終了間際に訪れたチャンスは確実に仕留めたかった。
33金崎夢生 7 ポストプレー、積極的なシュート意識、と攻撃の軸となり、決勝点もゲット。 MOM
FW
11ダヴィ 6 シンプルなプレーで攻撃に絡んだ。そろそろゴールが欲しいところ。
→MF8土居聖真(73分) 5.5 貢献度が低い訳ではないが、もっとチャンスシーンに絡みたいところ。
監督
石井正忠 6.5 決定力の低さ以外には、内容的にパーフェクトなゲームだった。

<甲府>
GK
21河田晃兵 6.5
DF
41土屋征夫 5.5
4山本英臣 6
17津田琢磨 5
→MF24松本大輝(67分) 6
MF
16松橋優 5
18下田北斗 5.5
6マルキーニョス・パラナ 5
27阿部翔平 5
FW
23稲垣祥 5
→FW14堀米勇輝(67分) 5
9阿部拓馬 6
10バレー 5
→FW11マラニョン(87分) -
監督
佐久間悟 5.5

<主審>
池内明彦

[明治安田生命J1 2nd第11節終了時 記録]
<対戦結果>

甲府0-1鹿島
仙台1-1湘南
川崎F6-1名古屋
横浜FM1-0FC東京
清水1-4浦和
神戸1-2新潟
広島0-0鳥栖
松本1-1G大阪
0-0山形

<年間 順位>
順位チーム試合勝点得点失点得失
1浦和レッズ2861553025
2サンフレッチェ広島2859572730
3FC東京2853382711
4ガンバ大阪2851412714
5川崎フロンターレ2847524012
6鹿島アントラーズ2847473512
7横浜F・マリノス2844382711
8柏レイソル283836342
9湘南ベルマーレ28383335-2
10名古屋グランパス28363340-7
11ヴィッセル神戸283236360
12ベガルタ仙台283140391
13サガン鳥栖28313351-18
14アルビレックス新潟28293549-14
15ヴァンフォーレ甲府28292035-15
16松本山雅FC28242646-20
17清水エスパルス28213252-20
18モンテディオ山形28202042-22
※鹿島は今節でのJ1残留が確定

<2ndステージ 順位>
順位チーム試合勝点得点失点得失
1サンフレッチェ広島1125281117
2鹿島アントラーズ1125201010
3柏レイソル11201495
4浦和レッズ112016133
5ガンバ大阪111917143
6横浜F・マリノス111817107
7FC東京11181495
8川崎フロンターレ111720146
9湘南ベルマーレ111613112
10アルビレックス新潟11151516-1
11名古屋グランパス11141522-7
12ヴィッセル神戸111319172
13サガン鳥栖11111119-8
14ヴァンフォーレ甲府119813-5
15松本山雅FC1191021-11
16ベガルタ仙台1181319-6
17清水エスパルス1181020-10
18モンテディオ山形116618-12

<CS トーナメント表> ※暫定
championship_topYagura

<ゴールランキング>
順位選手名チームゴール
1大久保嘉人川崎F19
2宇佐美貴史G大阪18
3ドウグラス広島15
豊田陽平鳥栖
5武藤雄樹浦和11
クリスティアーノ
大前元紀清水
佐藤寿人広島
9武藤嘉紀FC東京10
10興梠慎三浦和9
レナト川崎F
ピーター・ウタカ清水
パトリックG大阪
レアンドロ神戸