連戦2試合目。次なる相手は一つになって波に乗る王国のオレンジ軍団

 前節、王者広島に対して完勝して首位に返り咲いた鹿島は今節ホームで好調の清水と対戦する。

 今季清水が今季好調なのは安定した守備からの鋭いサイドアタックにある。右SBにCBが本職のヤコヴィッチを置くことで、右サイドの守備がかなり安定した。ヤコヴィッチはビルドアップ、オーバーラップの能力は高くないが、1対1の守備と高さには絶対の自信があり、ここを崩すのはかなり難しいだろう。また、最終ラインにCBタイプの選手を3人置くことで、左SBの吉田が高い位置を取ることが出来、チームの中心である大前が自由に動きながら左サイドの攻撃をより活性化させている。右サイドにも突破力のある高木俊がおり、両サイドからのクロスで相手を崩すパターンが非常に多い。

 鹿島が守備で気をつけたいのは、むしろボールを持っている時である。不用意にボールを失うと、清水は一気に人数をかけて縦に速いカウンターを仕掛けてくる。中盤でのボールロストには細心の注意を払いたい。一方で前節の広島戦でハマったような前線のプレスをかける時は、ビルドアップに難のあるヤコヴィッチかプレッシャーに対して弱さを覗かせる六平の所に追い込んでボールを奪いたい。

 攻撃では相手が高い位置を取る鹿島側から見た右サイドを使いたい。吉田の裏を突いて、左CBのC・ヨンアピンを上手く引きずり出すことが出来れば、中央は手薄になるのでチャンスも増えていくだろう。また清水の竹内と六平のダブルボランチは決して守備が得意なタイプではないだけに、土居や柴崎がその脇のスペースを上手く突いていきたい。

 おそらく今節は、サイドでは清水、中央では鹿島が主導権を握ることになるだろう。清水は前節もそうだが立ち上がりに難がある所があるので、そこで先制点を奪って試合を優位に進めたい。またセットプレーもカギになるだろう。清水は長沢がいないとはいえ、ノヴァコヴィッチや平岡と強力なターゲットがいるだけに要注意だが、守備の際はマークが甘いところがあるので、そこは狙い所だ。中2日と厳しい日程だが、走り負けることは絶対に避けたい。

2014 Jリーグ ディビジョン1 第10節
鹿島アントラーズ清水エスパルス
4月29日(火・祝) 15:00キックオフ
県立カシマサッカースタジアム

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対戦データ

[対戦相手情報]
清水エスパルス
現在 6位 5勝1分3敗 14得点11失点
上位進出を狙う今季は3月こそわずか1勝と出遅れたものの、4月はここまで公式戦全勝、しかも無失点と勢いに乗っている。好調の要因は安定した守備にある。右SBにCBが本職のヤコヴィッチを配置してから、サイドを崩されることが激減。メンバーを固定したことで、連係も高まってきた。攻撃面も持ち味のサイドアタックが機能。大前、河井、ノヴァコヴィッチらがそれぞれの持ち味を出している。懸念材料はここまで絶好調だった長沢が大ケガを負ってしまったこと。守備面での貢献度も高かった彼の不在は痛手だが、「駿のために」とチーム全体が結束した今の清水は一枚岩となってカシマに乗り込んでくる。

[対戦相手の前節ハイライト]
J1第9節 VS仙台 ○1-0(清水得点者:河井)



[予想スタメン]
<鹿島>
GK
21曽ヶ端準
DF
24伊東幸敏
5青木剛

15昌子源
16山本脩斗
MF
40小笠原満男
20柴崎岳
25遠藤康
28土居聖真
33カイオ
FW
11ダヴィ
SUB
GK1佐藤昭大
DF23植田直通
MF8ルイス・アルベルト
MF10本山雅志
MF27梅鉢貴秀
FW18赤﨑秀平
FW19豊川雄太
監督
トニーニョ・セレーゾ
鹿島 予想フォーメーション

欠場予想選手
MF宮内龍汰(左足甲外側の第5中足骨骨折で欠場濃厚)

日曜日がオフだったため、準備期間は1日しかない。スタメンは青木が復帰しそうだが、広島戦でまずまずのプレーを見せた植田の先発も考えられる。左SHは突破力のあるカイオがそのまま入るか。ベンチは流動的だ。ここまで続けて同じベンチメンバーで臨んだことがないため、今節も変更がありそう。

【KEY MAN】
MF柴崎岳
…ここ最近絶好調。今節は持ち味の鋭い飛び出しが活きる試合になるだろうし、彼の出来が勝利に直結するようになった今のチームでは活躍は欠かせない。課題の守備でも上手く河井を捕まえることが出来るか。

<清水> ※()は2014シーズンの記録
GK
1櫛引政敏(8試合7失点)
DF
19ヤコヴィッチ(7試合0得点)
3平岡康裕(9試合1得点)
4カルフィン・ヨン・ア・ピン(9試合0得点)
28吉田豊(8試合0得点)
MF
16六平光成(7試合0得点)
20竹内涼(8試合0得点)
11高木俊幸(7試合2得点)
17河井陽介(9試合1得点)
10大前元紀(9試合3得点)
FW
18ノヴァコヴィッチ(9試合4得点)
SUB
GK21相澤貴志(1試合4失点)
DF5村松大輔(5試合0得点)
DF27廣井友信(1試合0得点)
MF6杉山浩太(6試合0得点)
MF7本田拓也(3試合0得点)
MF22村田和哉(7試合0得点)
MF23高木善朗(1試合0得点)
監督
アフシン・ゴトビ
清水 予想フォーメーション

欠場予想選手
GK三浦雄也(虫垂炎で欠場濃厚
MF石毛秀樹(ケガで出場微妙)
FW長沢駿(右膝前十字靭帯断裂で欠場濃厚

大ケガの長沢に代わって高木俊がスタメンに入っている。前節の仙台戦では高木俊トップ下、河井右SHでスタートしたが、前半途中から2人を入れ替えてやった方が機能していたため、今節はスタートから後者の布陣を採用するだろう。最前線にはノヴァコヴィッチが入る。ベンチで気をつけたいのは抜群のスピードで右サイドを切り裂く村田。去年のアウェイ戦ではこの男のクロスから決勝ゴールが生まれている。古巣対戦となる本田はベンチスタートが濃厚。

【要注意選手】
MF河井陽介
17

…中盤からSBまでこなすユーティリティ。ここ最近は2列目で起用されており、持ち前のパスセンス、ドリブルを活かして攻撃を活性化させている。ノヴァコヴィッチの近くでプレーする彼を捕まえ切れないと、失点の可能性は高いだけに要注意だ。